145. 最後の手段 | アラフィフで転職した秘書の秘書裏(表も)話

アラフィフで転職した秘書の秘書裏(表も)話

アラフィフで転職成功した秘書が、長年の秘書生活の、いろいろなお話をしたいと思います

そうこうするうちに、一週間が経ってしまい、辞めることに関してはぎりぎり一か月前noticeで言うことができたが、有給消化できる日はどんどんと減っていく。

一か月以上の有給がありながら、いっぱいいっぱいとったとしても、もう三週間もない。

でも、もういっぱいいっぱいはとれないので、有給のほとんどを捨てることになるのかもしれない。

鬼女(同僚)は、末日まで働かせるつもりだし。

仕事は一切手を抜かず、むしろ今まで以上に一生懸命やっていたので、余計に理不尽な扱いを受けているように感じ、怒りが爆発してしまいそうだった。

なんで当然の権利である有給も使うことができないのか?

しかも、彼女の命令で。

向こうがそうなら、こちらも最後の手段だ、と、バカ社長に訴えた。

「私は末で辞めるのですが、OOさん(同僚)に最後の日まで出社しろと言われました。私は有給消化してはいけないんでしょうか」

流石にバカ社長も驚き、

「なんでそんなことになっているわけ?有給消化は当然の権利なのですぐにとってください」

「辞めるって聞いてからも一生懸命仕事してくれているのはわかっています。現にファインプレーが続いているし」

「末まで出社しろというのなら、その後給料だけもらって次の月まるまる有給すればいいんじゃないですか?」

と、矢継ぎ早に言ってきた。

翌月まるまる休む、それができれば簡単なのだが、私は翌月1日から次の会社で働かなければならないのだ。それが、彼らが出してきた唯一といっていい条件なのだ。

それを説明すると、

「それならすぐにでも休みに入ってください。明日から休んで、どうしても引継ぎとか必要な時だけちょろっとくればいい。今まで辞めた人、みんなそうしているんだから。」

・・・この時ほど、この人をいい人だと思ったことはあっただろうか(あ、雇ってもらった時?)

そして、更に社長が口を開く。

「ところで質問があるんですが」

・・・次の勤務先なら絶対に言わない。

「OOさんとあなたって仲悪いの?あんなに仲良さそうにしていたのに、なんでそんなことになっているの?」

「私だってわかりません。辞めると言った途端、そうなったので。最後の日まで出社しろ、それまでに空き部屋になった部屋を片付けておけ、マニュアルを作って私に見せろ、と言われました」

こうなったら全て言いつけてやれと思った。

「それらはやる必要ありません。残る彼女がやればいい。きっと彼女も辞めたかったのに先を越されて悔しいんでしょうね」

彼女も辞めたかったのに先を越されて悔しい・・・確かにそうなんだろう。でもこのバカ社長までそう思うとは。

やっぱり私だったらそう思われたくなくて、表向きだけでも普通にしただろうなあ。いや、今まで仲良くしてきたんだから、やっぱり最後まで仲良くしただろうなあ。

つまり、彼女にとって、私はその程度だったということだ。

さすがに明日からというのは常識外れなので、その週は出ることにして、あと3週間弱は有給休暇に充てることにした。もちろん、社長が、「自分が説明するから話さなくていい」と言ったので、彼女には何も伝えないことにした。

こうして、辞める準備は整った。