夜桜
急遽、夜桜を見に行くことになった。
少し疲れていて身体がついて行くだろうかと思いつつ、
娘たちと合流した。
途中で飲み物やおつまみを用意して、
長女お奨めの公園へ行った。
桜の木の下ではすでに宴たけなわで、
老若男女が楽しそうに笑い声をあげている。
まるで、
皆が楽しくなる魔法をかけられているみたい。
天気予報通り、凄く寒かった。
ビールを飲む気にはなれなくて、
わたしは暖かい珈琲でひたすら暖を取った。
娘らは唐揚げやポテトチップスでビールを飲んでいたけれど、
早々と引き上げて暖かいレストランに行くことになった。
ところがお目当てのレストランは長蛇の列だったので、
自宅で鍋にすることにした。
夜桜でのエピソード。
どこのグループも楽しそうだ。
皆、おなかの底から楽しんでいるようだ。
あるグループは車座に座りながらみんな大きなゴミ袋を履いていた。
何故履いていると思ったかと言うと、
トイレから戻った人がそれを履く光景を見てしまったからだ。
わたしはてっきり暗闇の中で、
膝の上に食べ物をこぼしたくないからだろうと、
勝手に想像したのだけれど、
遅れて来たメンバーにこういっているのを聞いた。
「ひざ掛け代わりのゴミ袋」
と手渡したのだ。
これには膝ポンである。
グッドアイデアだ。
確かに寒さは凌げるだろう。
ひざ掛け代わりであり、
万が一こぼしても汚れないし、
何より宴会が終わった後にはゴミ袋が本来の仕事をするだろう。
提案者は夜桜見物の達人なのかもしれない、
と盗み見しながら思わず微笑んだ。
最後まで読んでくれてありがとう