三月は鬼門?
来週で二月もおしまい。
クリスマスだ、お正月だと大騒ぎをしてバレンタインディなるものを経て、わたしが73歳になったりして、気づいたらもう弥生三月になろうとしている。
誰かこのスピードを止めてくれないかしら?
どうしたってこのスピードの目的地は、あそこしかない。
もうあと二年は頑張って健康でいるしかないわたしなのだから。
人生は思いがけないことのてんこ盛りだ。
最近つくづく思う。
これでもか、と勝手に押し寄せて来ては勝手に引いて行く波だけれど、少しも油断させてくれない。わたしはそんな星の下に生まれて来た。それを運命と言うのだろう。
両親亡きあとも、こんなに頑張って来たけれど、まさかいまだに報われていないとは想像もしていないだろう。
だって婿殿を信頼して委ねたのだから。
それなのに勝手にさっさと逝ってしまったなんて、あちらで謝罪でもしているのだろうか?
がんセンターの人気の消えた待合室で、わたしは大泣きをした。
彼が大嘘つきだったからだ。
「なんでわたしより先に逝くのよ。わたしが逝きたいわよ」
余命を宣告された彼はわたしの背中をさすった。
ごめんよ、ごめんよと詫びながら。
三月の底冷えのする夜のことだった。
三月はわたしにとって鬼門なのだろうか?
半世紀前は人身事故を起こして奈落の谷底に落ちた。
今でも昨日の事のように鮮明に記憶している。
人を撥ねた感触は生涯忘れられない。そこをどん底だと思って生きて来たけれど、思い切って底を蹴って浮上したけれど、やがて次の底が待っていた。
だから三月はいつもぞわぞわと落ち着かない。
そっとして置いて欲しいのに。
最後まで読んでくれてありがとう