2022年、世界はどうなる? | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 新型コロナウイルス感染は病まず、内外ともに多難な2021年が終わり、2022年が始まったが、平穏な年とはなるまい。

 バイデン政権は、民主主義や人権の理想を掲げる理念外交を推し進め、その結果、人権弾圧を問題にして、中国やロシアとの対立を深めることになってしまった。

 アメリカは、「民主主義サミット」を開くなど、西側陣営の盟主を誇っているが、20年も米軍を駐留させて民主主義を教えてきたアフガニスタンから撤退し、タリバンが専制的な統治をするとい皮肉な事態が起こっている。中東、イスラム世界では、宗教の影響が社会や政治の隅々にまで行き渡っており、西欧流の民主主義の理想からは大きくかけ離れた状況になっている。

 ミャンマーでも、2月に国軍がクーデターを起こし、スーチー女史に率いられる政権を打倒した。

 民主主義を世界で定着させるのは容易ではない。とくにコロナ禍では、独裁制のほうが国民の自由を制限する公衆衛生上の措置を効果的に実行できる側面があり、感染防止対策に名を借りた人権弾圧が行われる可能性がある。

 バイデン政権は、権威主義体制の代表である中国、そしてロシアを封じ込めようとして、日欧豪の同盟国とともに軍事をはじめ、多くの分野で協力関係を強化している。いつ軍事衝突が起こっても不思議でないくらいに緊張が高まったのが、台湾とウクライナである。

 中国にとっては、台湾は内政問題であり、それを国際社会も認めているはずだというのである。

 アメリカは、台湾防衛の予算を増やしたり、2022年にハワイ沖で行われるリムパック(環太平洋合同演習)に台湾を招こうとしたりして、中国を牽制している。中国側も軍拡でこれに応え、台湾周辺での演習を繰り返している。今後とも台湾海峡を巡る軍事的緊張には注意を払う必要がある。中国が、台湾の軍事的統一というオプションを捨てていないことを忘れてはならない。

 ウクライナ国境でも緊張が高まっている。12月25日、ソ連邦解体から30年が経った。15の共和国から成る大国がバラバラになり、各国が独立したが、ロシアでは強国であったソ連時代を懐かしむ国民が過半数を占めている。とくに、旧ワルシャワ機構を構成していたソ連・東欧の国々が西側の安全保障組織であるNATOに次々と加盟し、ロシア包囲網を形成していることには不安を抱いている。

 緩衝国として残っているのはベラルーシとウクライナであり、前者は親ロシア路線を採っているが、後者はNATOへの加盟を目論んでいる。この挑戦を軍事力ででも潰そうとしているのがプーチン大統領であり、そのために10万以上の軍隊をウクライナ国境に展開させているのである。

 ロシアは、年末の電話首脳会談でもウクライナがNATOに加盟しないことの保証を求めており、年明けの1月10日に、ジュネーブで米露協議が行われる予定である。アメリカはロシアの主張には耳を貸さないであろう。軍事侵攻に対しては経済制裁で対抗することを通告するであろうが、その実効性には疑問が残るし、プーチン大統領は、ウクライナ侵攻という選択肢を維持し続けるであろう。

 新たな冷戦とも言える状況であり、第三次世界大戦につながる危険な状況である。