3度目の緊急事態宣言は有効なのか? | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 4月25日、東京都、大阪府、京都府、兵庫県に緊急事態宣言が発令された。しかし、人出はあまり減っていない。飲食店での禁酒や、小池都知事による灯火管制がどこまで効果があるのだろうか。

 新型コロナウイルスも生き残りに懸命で、2週間毎に変異を繰り返しているが、次々と厄介な変異株が生まれている。イギリス型、ブラジル型、南アフリカ型に加えてインド型が強烈なようである。

 インドでは、1日にコロナ感染者35万人、死者2800人という惨状である。感染スピードの速いこの変異株が影響しているのかもしれない。日本でも21件が報告されている。

 新型コロナウイルスの感染が全国で急拡大し、とくに大阪では医療崩壊状態となっている。列島各地で感染が拡大し、1日に5千人を超える状況となっている。

 このような惨状を背景に、25日に行われた衆院北海道2区補選、参議院長野選挙区補選、参議院広島選挙区再選挙で、自民党は全敗した。とくに、広島では河井克行・河井案里夫妻の公選法違反事件が響いたが、コロナ対策の失敗も菅政権への批判につながった。

 政府のコロナ対策やワクチン接種計画については批判が多い。

 共同通信世論調査(10〜12日)では、政府のコロナ対応について、「評価する」が35.9(−0.6)%、「評価しない」56.5(±0)%、ワクチン接種の進捗について、「不満を感じている」が60.3%、「不満は感じていない」は36.5%である。

 NHK世論調査(9〜11日)では、政府のコロナ対策を「評価する」が44%、「評価しない」が53%である。

 朝日新聞世論調査(10,11日)では、政府のコロナ対策について、「評価する」が29(−6)%、評価しないが61(+10)%である。

 ワクチンなど、英米やイスラエルの取り組みを見ると、日本は大幅に遅れており、国民が不満を持つのは当然である。

 日本は、ワクチン接種がG7の中で最も遅れており、4月12日から高齢者への接種が始まったが、医療関係者すらまだ接種が終わっておらず、高齢者用のワクチンを医療関係者に渡さねばならないような状況である。ワクチンの生産が需要に追いついておらず、世界でワクチンの争奪戦が始まっている。

 田村厚労大臣、西村大臣に加え、河野大臣をワクチン担当に起用したことで大きな成果が上がっているとは思えない。コロナ担当大臣が3人もいる国は、海外ではありえず、まさに「船頭多くして船山に上る」である。大臣を2人にした安倍政権の失敗を反省せずに、3人目まで作った菅政権の責任は重い。厚労省の官僚も、地方自治体も、戦力や資金を増やしてくれるわけでもないので、士気がらない。

 東京五輪まで100日を切っている。日本でイギリス並みにワクチン接種が進んでいれば、胸を張って「絶対開催」と言えるのだろうが、現実はそうではない。イギリスでは人口の半分以上が接種を完了しているのに対して、日本はまだ人口の1%である。3度目の緊急事態宣言となった今、東京五輪開催に反対する海外の声は高まっている。

 まさに菅政権にとって、最後の命綱はワクチンなのである。