小池都知事の思いつきの公約では第二波に対応できない | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 8月13日の東京都のコロナ感染者は206人で依然として高い。そして、この第二波が収束する目処も立っていない。それどころか、東京を震源地とするこの第二波は全国的に拡大し、市中感染が広がっている。

 そのような中で、12日、「感染防止徹底宣言ステッカー」が掲示されている江戸川区のフィリピンパブで、8人が集団感染が明らかになった。ステッカーは、都がきちんと調査して発行していると思っていたら、都のホームページから誰でも自分で印刷できるというし、報告の義務もないという。この杜撰さが小池流で、東京を第二波の震源地にした。

 小池都知事は、選挙戦の中でのセールスポイント稼ぎなのか、「東京版のCDCを作る」という。CDCとはアメリカのCenters for Disease Control and Prevention(疫病予防管理センター)のことで、アメリカ連邦政府の機関である。病原体は州の境を超えて移動するので、アメリカ全土に監視の目を光らせている。本部に7000人、支部に8500人の職員が勤務している。

 アメリカで「CDCの○○州版を作る」などという知事がいたら、笑いものになるだけだ。CDCは連邦組織だからこそ意味があるのである。

「東京版CDC」が埼玉県、千葉県、神奈川県の面倒を見る権限も予算もないことを考えただけで、無意味な提案だということが直ぐに分かる。小池百合子という政治家は、よく考えないで思いつきで物を言う。豊洲も築地も五輪も、すべてそうで、人気取りのためのパフォーマンスでしかない。CDCはあくまでも、国全体の感染症の司令塔なのである。

 新型コロナウイルスの感染防止策について、近隣県との調整もきちんとできていない状況であり、実施すべき対策は別に山ほどある。休業に対する補償金は、東京がずば抜けて多いこと一つを考えても、近隣県を助ける手を差し伸べるべきである。

 たとえば、「埼玉都民」は、東京で働いて東京のGDPを増やすのに貢献している。住居が埼玉県であっても、東京が支援するのを禁止する理由はない。「東京版CDC」よりも遙かに東京都のためにも埼玉県のためにもなる。

 さらに言えば、新しい組織を作れば、それは利権の巣窟となり、そうでなくても潤沢な都庁の役人の天下り先を増やすだけである。そして、官の組織は、感染研のように情報の独占を図り、それを権力の源泉にしてしまう。PCR検査が迅速に増えないのは、この感染研の体質が理由である。

 その欠陥を再生産するような「東京版CDC」を作ってどうするのか。小池百合子という人は、関係者の様々な意見をよく聞いて、慎重に政策を形成するということのできない目立ちたがりの政治家にすぎない。

 厚労省の規制を突破して、東京都だけでも徹底したPCR検査を行えば、実態を正確に把握できるであろう。都の対応に不満な世田谷区では、保坂区長が独自の検査拡大策を講じようとしている。