ナチズムへの序曲か:「れいわ新撰組」と「NHKから国民を守る会」 | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

 N国の立花党首が、10月8日、参議院議員を辞職して、10日に告示の参議院埼玉選挙区補選に立候補することを表明した。

 脅迫の疑いで書類送検されたとき、「有罪(後に実刑に変更)になったら議員辞職する」と明言したが、今回の辞職・埼玉補選立候補との関連はどうなっているのか。話題を集めさせすればよいと、その場その場で言動を変える脈絡のなさには驚く。

 今の日本で注目すべきは、二つの政治団体である。

 一つは、山本太郎議員が組織し、代表を務める「れいわ新選組」である。私も新党を作って選挙に臨んだ経験があるが、参議院選挙比例区で1議席を獲得すること、そして政党要件(5人以上の国会議員か全国で2%以上の得票)を満たすことがいかに困難であるかを痛感したものである。

 2%というと約100万票が必要である。「れいわ」は228万票を獲得し、みごとに2議席を確保したのである。特定枠を二つ使ったため、99万票をとりながら、第三順位となる山本太郎は落選した。

 この躍進は、山本の個人的人気もあるが、ネット社会、SNSがもたらしたものである。政策内容が吟味されたのではなく、左翼的に政権批判をすることが「何となくカッコイイ」といった感じで多くの支持を調達したものと思われる。政治資金もネットで3億円集め、さらに新聞広告を可能にするために追加の1億円を要請したところ、すぐに集まったという。

 「れいわ」は、政策内容よりも、ネットによるブームで集票したようである。ウクライナでも同じ日に国会選挙が行われたが、元コメディアンのゼレンスキー大統領の与党が第一党となった。イタリアの「五つ星運動」の代表も元コメディアンのペッペ・グリッロである。「れいわ」もまた、ポピュリズムである。

 もう一つは「NHKから国民を守る会」である。この組織は選挙区にも多数の候補を立て、98万余票を集めて、1議席と政党要件を獲得している。敵をNHKに定め、それを攻撃することが目的の「単一争点政党」である。このような泡沫政党がなぜそこまで健闘したのか。

 これも、「れいわ」の場合と同様に、政策や公約に賛同するというよりは、奇妙な団体が出てきたので、「何となく面白い」から投票しようという遊び感覚で投票したのではなかろうか。

 ナチズムやファシズムのプロパガンダの特色は、その面白さにある。「れいわ」もN国も面白い。しかし、その面白さが危険な「蛇の卵」である。その卵が孵化してからでは、手遅れである。日本の民主主義は大丈夫か。

 拙著『ヒトラーの正体』には、いかにして「蛇の卵」が孵化していったかが説明してある。https://amzn.to/2lQ2GVq