日本は、米中「戦争」にどう生き残るか  | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 アメリカの要請でカナダ政府が華為(ファーウェイ)の孟晩舟CFOを逮捕したが、アメリカは、ファーウェイとZTEを攻撃の的にしている。

 米中貿易摩擦が激化する中で、先端技術をめぐる「戦争」が起こっている。1980年代の日米摩擦を思い出すが、産業用ロボットで一歩先を走っていた日本をアメリカは警戒し、結局は、日本は押さえ込まれてしまった。

 ところで、安倍首相は、10月25日~27日に中国を訪れ、李克強首相や習近平国家主席と会談した。日本の首相が訪中して首脳会談を行うのは、2011年12月の野田首相以来であった。今、日中関係は良好であり、官民の交流が活発に行われている。

 日中関係とは違って、米中関係は悪化の一途を辿っている。トランプ大統領は、対中貿易赤字を問題にして制裁関税を課し、それに対して中国も報復関税を発動している。GDP世界一の大国と第二位の大国との対立である。

 両国間の競争は、経済のみならず安全保障分野においても激しくなっている。それは世界ステム論的に言えば、パックス・アメリカーナ(アメリカを中心とする世界秩序)をパックス・シニカ(中国主導の世界システム)に変えようとする中国の野望と、そうはさせないと抵抗するアメリカとの争いである。

 1980年代の日米貿易摩擦のときには、アメリカは日本を封じ込めるために、為替操作などの手段を使った。1985年9月にはプラザ合意が締結され、それによって円高が進みバブル経済になった。そして、その後、バブルも崩壊し、長いデフレの時代に突入したのである。

 日本の国際的地位は相対的に低下していき、GDPでも中国に抜かれ、世界第三位に転落した。30年後の今、米中経済摩擦が深刻な状況になっているが、アメリカの攻勢にさられる中国は日本と同じ轍を踏むのであろうか。

 日中首脳会談で、安倍首相は、新たな日中関係の三原則として、「競争から協調へ」、「脅威ではなくパートナー」、「自由で公正な貿易体制の発展」を掲げた。

 具体的な政策として、ODAを終了、第三国でのインフラ開発協力、通貨スワップ協定の締結、海空連絡メカニズムに基づくホットラインの設置などを決めた。第三国で日中が協力してインフラ整備をするという話は、日本が事実上「一帯一路」政策に参加したことを意味し、習近平政権にとっては渡りに船である。

 しかしながら、尖閣諸島、東シナ海のガス田開発、南シナ海への中国進出など懸案の問題は残ったままであり、関係が良好なときはこれらの諸問題は棚上げされるが、いつでも蒸し返されて緊張要因となる可能性がある。

 日本は核抑止力をアメリカに依存しており、パックス・アメリカーナとパックス・シニカの狭間で生き残るには、①自ら核武装する、②日米安保を堅持する、③同盟の相手を中国に変えるなど幾つかの選択肢がある。

 歴史が教えるのは、一つの同盟関係は永遠には続かないということである。