20世紀文明論(14):生活革命③少子化・・・❷ | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 出生率が減っていけば、やがて世帯人員も減っていく。平均世帯人員の推移を日本について詳しく見てみると、4.99(1920年)、5.07(1930年)、4.92(1940年)、5.02(1950年)、4.52(1960年)、3.73(1970年)、3.25(1980年)、3.01(1990年)、2.76(2000年)、2.59(2010年)である。1970年以降、単純化して言えば、5人家族が3人家族に減っていっている状況である。

 他の先進国も同様な傾向にある。統計年は国によって異なるが、2010年前後の数字を見ると、アメリカ2.6、イギリス2.3、フランス2.2、ドイツ2.0である。

 世帯人員の減少は、出生率の低下のみならず、一人暮らしを選ぶ若者や非婚者の増加、配偶者と離死別した中高年者の増加などの要因によってもたらされる。人類の歴史の中で家族のあり方が大きく変わったのも、20世紀の特色であろう。

 少子化は、公的年金制度のあり方に大きな影響を与える。日本の年金制度は賦課方式、つまり、現役世代(15~64歳)の負担で高齢者(65歳)の年金を賄うようになっている。2017年には、65歳以上の高齢者は3515万人、総人口に占める割合は27.7%に達している。

 2000年には3.9人の現役で1人の高齢者を支えていたのが、2017年には2.2人で1人となっている。そして、22020年には2.0人で1人、2030年には1.9人で1人、2040年には1.5人で1人に、2050年には1.4人で1人、2065年には1.3人で1人になるという予測が立てられている。

 つまり、現役世代の負担はますます重いものにならざるをえないのである。

 それでは、どのような改革案が考えるのであろうか。一つは年金支給年齢の引き上げである。

プーチン大統領はロシアで同様な改革を試みた。具体的には、男性は60歳から65歳に、女性は55歳から63歳に引き上げようとしたが、世論の猛反発を受けて、女性については63歳ではなく60歳にすると修正している。

 日本の場合、もし75歳に引き上がれば、1人の高齢者を支える現役(15~74歳)の人数は、2020年で4.9人、2030年で3.6人、2040年で3.4人、2050年で2.8人、2065年で2.5人となる。

 長寿化で、男性は80歳、女性は90歳まで生きる時代には、一気に75歳というのは難しくても、70歳くらいまでは働ける環境を作ることが重要である。