国権の最高機関が定めた法に従うこと、それこそが成熟した文明国の作法である。しかし、物事をルールに従って展開するということが必ずしも行われていないのが、昨今の我が国である。日本全体が、劣化、幼稚化している。
「文明とは手続きである」。 「民主主義とは手続きである」と言い換えてもよい。オルテガ・イ・ガセットは言う。「手続き、規則、礼儀、調停、正義、道理!これらすべてはいったい何のために発明されたのだろうか。かかる煩雑さはいったい何のために創り出されたのだろうか。これらすべては他ならぬ『文明』(civilizacion)という言葉に要約されるものであり、チヴィスー市民—なる概念のなかにその本来の起源をもっているのである。つまり、そうした煩雑さのすべてをもって、市(ciudad)、共同体、共存を可能たらしめようというわけである。」(『大衆の反逆』ちくま文庫、106p)。」
今の日本で、ポピュリズムや全体主義に対抗するために、ぜひ皆に読んでもらいたい本である。