「お前が黒幕なんじゃないか」(舛添要一世界と遭う⑤) | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 次なる目的地はネブラスカ州のオマハ近郊のオファット空軍基地である。ここには戦略空軍(SAC:Strategic Air Command)司令部がある。この司令部は、戦略爆撃機と大陸間弾道ミサイル(ICBM)を指揮している。ワシントンDCからオマハに飛ぶ。司令部では、ICBMの運用方針など細かいブリーフィングが続いた。

 いま北朝鮮が核兵器とICBMを開発して世界の不安材料になっているが、若い頃、こうしてアメリカの基地を視察し、専門家と議論したことが大いに役立っている。アメリカ政府のゲストということで温かい歓迎を受けたし、兵器についての説明も具体的であった。

 私はヨーロッパで国政政治の研究を行ってきたが、軍事については十分な知識もなく、兵器を使ったこともなかった。そのため、安全保障の国際会議などで武器の性能諸元を知らなかったために恥をかいたことがあった。アメリカ政府に軍事基地の視察をお願いしたのは、そのようなことがあったからである。

 基地に置いてあるICBMのミニットマン(ミサイル)の模型を仰ぎ見ながら基地をあとにしたが、次に私を待っているのは空軍士官学校(US Air Force Academy)である。コロラド州のコロラドスプリングスにある。この町にはピーターソン空軍基地があり、シャイアンマウンテンにはNORAD(北米航空宇宙防衛司令部)もある。

 まずは州都のデンバーを目指す。デンバーは標高1マイル(約1600メートル)の高地にあるので、マイル・ハイ・シティと呼ばれる。多くの観光スポットがあるが、ここには造幣局(US Mint)があり、貨幣を造っている。ついでにミニ知識として言うと、アメリカの硬貨をよく見ると、「D」と刻印したものがあるが、それはデンバー造幣局で鋳造されたものである。私はデンバーが好きなので、D・コインを手にすると嬉しくなる。

 コロラドはネブラスカの隣の州なので、グレイハウンドのバスの旅にした。バスはデンバーの方向を目指して走り続けるが、その途中でエヴァーグリーンという名前の美しい町に入った。実は、ヒンクリーJr.は、この町で幼少の頃、そして少年期を過ごしており、その家には彼の両親が住んでいる。まさに、レーガン狙撃犯の足跡を辿るような旅となってしまった。

 デンバーからは飛行機でコロラドスプリングスに移動した。シャイアンマウンテンの上では乱気流で苦労したが、無事に到着した。迎えてくれた米空軍の仲間にワシントンDC以来のレーガン狙撃犯との因縁を話すと、「お前が黒幕なんじゃないか」と冗談を言って大笑いした。(続く)。