都知事こぼれ話(4):ポピュリズムと日欧の政党(2) | 舛添要一オフィシャルブログ Powered by Ameba

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 イタリアでは、2016年12月4日に行われた国民投票(上院の権限を弱める改正案)で、憲法改正が否決され、民主党のレンツィ首相が辞任した。反憲法改正派には、まずコメディアンのベッペ・グリッロ氏が創設した「五つ星運動」があり、既成政党を批判して躍進している。次が、サルビーニ書記長率いる右翼政党「北部同盟」で、反ユーロ、移民排斥を主張している。さらには、ベルルスコーニ元首相の「フォルツァ・イタリア」も改憲反対である。国民投票否決という結果の背景には、格差への失望感、11%という高失業率(25歳未満では35%を超える)があり、グローバル化、移民への反感がある。

 2016年6月23日には、イギリスが国民投票でEUからの離脱を決めた。また11月8日のアメリカの大統領選では、大方のマスコミの予測に反して、ドナルド・トランプ氏が当選した。欧米先進国におけるこれら一連の動きをどのように見ればよいのであろうか。Fake news、嘘が投票行動に影響するpost-truthの時代を象徴する出来事である。

 日本の政治の動きは、安倍政権の下で、これら欧米先進国とは必ずしも同じではない。しかし、SNSの普及に伴って、事実と異なるデータが拡散され、選挙などにおける有権者の行動に多大な影響を与えていることは否定しがたい。ポピュリズム、劇場型政治をマスコミが牽制するどころか、助長するような愚が繰り返されており、政治家に対して生殺与奪の権を握り嬉々としている。しかも、結果に対しての責任は一切取らない。

 大衆は、テレビのワイドショーなどが提供する「パンとサーカス」に満足し、世界の動向にもほとんど関心を示さない。テレビ画面では、聞くに堪えない井戸端会議が際限なく展開されている。その間にも、日本は世界の潮流から取り残され、衰退の一途を辿っていく。