宮﨑駿監督の新作アニメ
「君たちはどう生きるか」



映画を専門にしている人間の1人として何も情報を出さないと言う
あまりにもきっぱりとした鈴木プロデューサーの宣伝方式に私は興味津々で
自分のブログやInstagramでも何度も指摘して来ましたし、ラジオでもずいぶん語らせていただきました

試写会がなかった
新聞広告も
テレビCMも
新聞や雑誌のインタビューも
ネットでの何らかの情報配信も一切ないと言う展開

すごいと思いました



公開直後に観に行って
プログラムが売ってない!
衝撃を受けました

そして、1ヵ月後、8月11日にやっと劇場パンフレットが売りに出されてこれまたビックリ!



そのパンフには、たくさんの場面写真は掲載されているものの



配役はおろか、大物人気俳優たちの顔写真もコメントも、評論家も解説も何もない!

「潔い」「さすがジブリ」
といった賛同の声が上がる中
「大味」「手抜き」
といった痛烈な批判もネットでは飛び交っていました


確かに、パンフレット発売の効果なのか週間興行収入ランキングは浮上しました

ただ、こうなってくると
鈴木プロデューサーの狙いは
もう作品を売りたいと言うよりは
情報過多の現在の映画宣伝のあり方に一石を投じると言う
むしろ「挑戦」をしたのではないかと個人的には感じています

「まっさらな状態で作品を見てもらいたい」と言うのは多くの製作者たちの念願でしょうが、それではたくさんの人たちに見てもらうことが難しくなります

宮﨑監督のようなビッグネームの作品ほど、そんなチャレンジはできないのです

だから鈴木さんはやった
と思ったら、今日は皆さんも驚きましたよね

ジブリのホームページで
画面写真が14枚も公開されました

鈴木さんの手書きのメッセージで


実は、ジブリファンならば
アニメ業界の皆さんならば
想定していたことかもしれません

というのは、スタジオジブリは
2020年から「千と千尋の神隠し」など自社作品のアニメの場面写真を次々と公開し「ご自由にお使いください」とやってきたからです

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スタジオジブリホームページより

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この作品では、さすがにないかな?と感じていたのですが
それが公開中に起きたことが驚きでした



そして、マスコミを通じて配役もついに発表されたのです

「ならば、パンフレット買わなければよかった」

といった意見が出てくる可能性も充分あります

「普通に宣伝していれば、もっともっと当たっただろう」と言う声はあちこちから聞きます



鈴木プロデューサーにインタビューしたいです
今回のことを今後どのように活かしていきたいのか?

作品にとって何が起きたのか?

そしてなぜこの一連の戦略を考えたのか?

いつ考えたのか?
この作品を見てから
この作品の前から?

「伝えないことがエンタメになる」
それは多分表層的な理由だと思います

もちろん、宮﨑監督にも当事者のお1人としてお話を伺いたいです



1つ思うのですが
今回の“騒動”について、そしてその評価と考察について

当事者以外の
映画プロデューサー、監督、宣伝担当者、劇場関係者、評論家、そして映画ファンなどで討論会、シンポジウムを開催したら、
話し合うべき事は、多岐に渡りとても面白いと思うのです

キネマ旬報誌上討論会でもかまいません

鈴木プロデューサーと宮﨑監督が参加されるなら
これはもうNHKスペシャルですね(笑)



公開1ヶ月以上経ってもまだまだ話題と興味が尽きない「君たちはどう生きるか」
評価は様々ですが、やっぱりすごい作品です



初めて公開された14の場面写真をご覧になりたい方は、ジブリの公式ホームページを見てくださいね