スマート・テロワール協会(東京)会長中田康雄 の年頭ご挨拶を
スマート・テロワール協会のホームページより転載致します。
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新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。
元旦から大震災が能登半島を中心とした北陸地方を襲いました。
被災された方に対し心よりお見舞い申し上げます。
2023年を振り返りますと、日本の食料自給率が38%を切り、化石燃料の自給率がほぼゼロという状態についての危惧が国民に共有された年でありました。
北半球の夏期の熱波による異常乾燥とロシア・ウクライナ戦争による世界的な穀物、エネルギー供給とそれに伴う穀物価格の上昇、そして円安による輸入穀物、エネルギーの価格上昇という状況が日本の食料とエネルギー供給体制の脆弱性を可視化し、それが食料、エネルギー安全保障の危うさの認識につながったということです。
そして畑作作物や畜産品そして化石燃料の大半を輸入に依存することは、東南海トラフ地震によって太平洋側の港湾設備が毀損されたり、有事の際に輸入に関わるライフラインが機能停止した時に、日本の食料、エネルギー供給は極めて困難な状況につながることが意識されるようになりました。
このような低位の食料エネルギー自給率が食料、エネルギー安全保障上の大きなリスクを抱えるという認識の深化は、スマート・テロワール構想の浸透に大いなる追い風になると考えられます。
スマート・テロワール構想が実現すれば、畑作穀物や畜産品の自給率は70%にまで回復することになり、コメの供給が現状水準を維持すれば食料の自給自足状態が可能になります。
また畑作での輪作体系の展開や畜産堆肥の活用が土壌の豊かさを促し、減肥料、減農薬が可能になり、化学肥料の輸入依存状況からの脱却も視野に入ることになります。さらに土壌の肥沃化は土壌のCO2吸収力を拡充して温暖化防止にも貢献することも期待できそうです。
またスマート・テロワール構想の中核には人口30万人から50万人くらいの農村地域での食とエネルギーの地消地産の枠組みが組み込まれています。地域の食糧・エネルギー自給圏構想です。
耕種農家、畜産農家、食品加工業者、小売業、レストラン、給食事業者そして消費者が地域密着で連携し食とエネルギーの循環型自給圏を構成することが究極のあるべき姿なのです。
日本全体で100程度の地域自給圏が自立した経済圏を形成するということです。こうした自立経済圏の形成は地方分権の基盤の構築に他なりません。ということはスマート・テロワール構想の実現によって日本は明治維新以降脈々と続く中央集権体制から地方分権体制への転換がはじめて真に可能になるのです。こうした地域分権体制こそ地震大国日本において真に災害に強い状況を生み出すことになります。国土強靭化はまさにスマート・テロワール構想によって可能になると言えるでしょう。
今ようやく始まったスマート・テロワール構想実現の端緒となる畑作穀物の自給の必要性の認識の深化は、小麦やとうもろこしの栽培に関心を向け、また栽培に取り組む生産者が徐々に姿を現し、相互に経験を共有し、知見を深める取り組みの拡大に繋がりつつあります。
スマート・テロワール協会は引き続き構想の広報と実践者への支援活動を継続してまいります。
会員の皆さまにおかれましてはこれまで以上のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
スマート・テロワール協会ホームページ
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