窃盗眪の「占有」 䞍胜犯 抜象的事実の錯誀 刑事未成幎の利甚ず間接正犯

窃盗眪の成吊
窃盗眪の故意の有無
は、ベンチの埌方䞋郚に萜ちおいるハンドバッグがのものであるず誀信した䞊で、に指瀺をしお、これを拟っおこさせおいる。このバッグは実際にはCの物であったこずから、Xに窃盗眪235条の既遂が成立する䜙地はない。もっずも、Xに窃盗未遂眪が成立する可胜性はあるため、の認識した事実を前提にしおにハンドバッグの「占有」が認められるかどうか、すなわち、に窃盗眪235条の故意が認められるかどうかが問題ずなる。※
 窃盗眪における「占有」は、必ずしも被害者が珟実にその物を握持しおいる必芁はなく、被害者がその財物利甚する可胜性を有しおいたかどうかによっお刀断すべきである。※
 本件においお、XはAが本件ハンドバッグの所有者であるず誀信しおいた。このXが認識した事実によれば、がハンドバッグを拟った時点においお、ただの埌ろ姿が芋える状況であり、時間的に近接した時点での犯行であったずいえる。そうするず、所有者であるが忘れ物に気づいお匕き返しお来る可胜性は高く、財物の利甚可胜性は残っおいたずいえる。
以䞊のこずから、このXの認識した事実を基瀎にするず、がハンドバックを倱念しおいたずしおも、Aにハンドバックの「占有」が認められる。埓っお、にはのハンドバックに察する窃盗眪の故意が認められる。
窃盗未遂眪の成吊
 に窃盗眪の故意が認められるずしおも、本件ハンドバックは客芳的にはの物ではなかったため、XのAに察する窃盗眪が既遂ずなるこずはない。もっずも、本暩ハンドバッグは䞀芋するずのハンドバッグのようにみえるため、窃盗未遂眪の限床で責任を問いうるのではないか問題ずなる。
 未遂眪が認められるためには、法益䟵害の珟実的・具䜓的危険性が生じる必芁がある。この危険性が生じたかどうかは、行為時に存圚した客芳的党事情を基瀎にしお、行為から芋た科孊的な結果発生の確率の有無によっお刀断すべきである。※
 本件においお、行為時の客芳的事情は、「ハンドバッグはの物である」ずいう事実である。これを基瀎に科孊的に結果発生の確率を怜蚎するず、およそに察する窃盗眪は成立しえない。埓っお、法益䟵害の珟実的危険性は発生しおおらず、窃盗未遂眪は成立しない。
占有離脱物暪領眪の成吊
抜象的事実の錯誀
 以䞊のように、に窃盗未遂眪は成立しないずころ、の行為は客芳的には占有離脱物暪領眪254条の構成芁件に該圓する行為である。このように、䞻芳的にはの物に察する窃盗眪の故意で行為をしたずころ、客芳的にはの物に぀いお占有離脱物暪領眪の結果が発生したずきに、に占有離脱物暪領眪の故意が認められ、同眪が成立するかどうか問題ずなる。
 䞻芳的認識ず客芳的結果が異なる構成芁件にたたがる堎合であっおも、構成芁件が実質的に重なる範囲においお、その軜いほうの限床で故意が認められるずしおも責任䞻矩には反せず、その限床で故意犯が成立するず解すべきである。実質的な重なり合いの有無は、䞡者の保護法益及び行為態様の共通性が認められるかどうかによっお刀断すべきである。
 占有離脱物暪領眪の保護法益は「所有暩」である。䞀方、窃盗眪の保護法益は「占有」であるこずから、共通性がないようにも思える。もっずも、「占有」が䟵害されれば背埌にある本件も䟵害されうる関係にあるこずから、窃盗眪も究極的には所有暩も保護法益ずするものであるずいえる。埓っお、保護法益の共通性が認められる。たた、䞡者ずもに領埗眪である点で共通しおおり、「占有」の有無によっおどちらの眪が成立するかの違いしかない。埓っお、行為態様の共通性も認められる。
※
 以䞊のこずから、窃盗眪ず占有離脱物暪領眪ずの間には保護法益及び行為態様ずもに共通性が認められるため、実質的重なり合いが認められ、軜い占有離脱物暪領眪の限床で故意が認められる。
 なお、の物の぀もりが、真実はの物であった客䜓の錯誀の点に぀いおは、故意の有無に圱響を䞎えない。
 埓っお、には、の物に察する占有離脱物暪領眪の限床で故意が認められる。
間接正犯の成吊
 は、自らはハンドバックを拟っおはいないものの、に指瀺を䞎えるこずで、占有離脱物暪領眪の結果を実珟させおいる。そこで、の䞊蚘行為に、同眪の間接正犯が成立するのではないか問題ずなる。
 間接正犯ずは、他人の行為を利甚しお犯眪構成芁件を実珟する正犯圢態である。※これが認められるかどうかは、利甚者が自ら実行行為を行ったず評䟡できるかどうかによっお刀断すべきである。具䜓的には、結果発生を実質的に支配しおいるずいえるかどうかによっお刀断される。※
 本件においお、は確かに13歳ずいう幌い幎霢であり、に反抗するこずはできなかったずも思える。しかし、はから指瀺された際、「え、でも知らないおばさんのだよ」ず躊躇を瀺し、の指瀺に反抗しおいる。この犯行を受けお、は、暎力的な行為に出おを脅したわけではなく、「じゃあ、もう新しいバッグは買っおあげないよ」ず告げただけで、を暎力的に支配しようずしたものではない。たた、はハンドバッグを持っおきた埌も眪の意識を感じおいるこずから、完党にの支配䞋におかれおいたわけではない。のこのような蚀動から、は刑事未成幎であっおも、是非善悪の別を぀けるこずができる人物であったずいえる。
 以䞊のこずから、の指瀺行為があったずしおも、がその行為を行わない可胜性があり、の指瀺行為が結果発生を実質的に支配しおいるずは認められない。埓っお、の指瀺行為によっおがのハンドバッグを拟っおきた行為に぀いお、に占有離脱物暪領眪の間接正犯は成立しない。
共犯の成吊
 に間接正犯が成立しないずしおも、芪であるXがBに指瀺をしおハンドバッグを拟っおこさせ、Bに占有離脱物暪領眪の実行行為を行わせたこずに䜕らかの犯眪が成立する䜙地はある。そこで、X自身は実行行為を行っおいないため、占有離脱物暪領眪の共謀共同正犯60条もしくは教唆犯61条1項の成吊を怜蚎する。
 共同正犯においお䞀郚実行党郚責任60条が認められる根拠は、共犯者間においお盞互に心理的物理的因果関係を䞎えあい、結果発生の蓋然性を高める点に求められる。そうであるずすれば、たずえ実行行為の䞀郚を実行しおいなくずも、謀議に関䞎するこずによっお結果に察しお重芁な寄䞎床を䞎えた堎合には、「犯眪を共同しお実行した者」ずしお、結果に぀いお党郚の責任を負わせるこずができるず解すべきである。
 重芁な寄䞎床を䞎えたかどうかは、①共謀者ず実行行為者の関係、②被告人の犯行動機、③被告人ず実行行為者間の意思疎通行為、④被告人が行った具䜓的加担行為ないし圹割、⑀利埗の分配などの犯行の呚蟺に認められる城衚的行為などを総合的に考慮しお刀断すべきである。※
 本件においおこれをみるず、①XはBの父芪であり、BはXの指瀺行為に察しお事実䞊反抗するこずができない立堎にあった。Xは、③Bに察しおハンドバッグを拟っおくるように指瀺をし、さらにBが若干の䞍平をいったにもかかわらず、④執拗に指瀺を繰り返した。そしお、⑀Bの領埗行為によっおハンドバッグを埗たのはXである。
 以䞊の事情を総合的に考慮するず、Xは占有離脱物暪領眪の結果発生に察しお重芁な寄䞎床を䞎えおいるずいえる。埓っお、Xには占有離脱物暪領眪の共同正犯が成立する。
 なお、Bは刑事未成幎であり、Bには犯眪は成立しない14条。しかし、そもそも、責任胜力は、行為者ごずに個別的に刀断すべきものであり、他の共犯者に責任胜力が認められない堎合であっおも、その行為が違法な行為である堎合には、他の共犯者にも圓該犯眪の共同正犯が成立するず解すべきである。埓っお、に責任胜力が認められない堎合であっおも、に占有離脱物暪領眪を指瀺したには占有離脱物暪領眪の共同正犯が成立する。


※鈎朚さずし説。事䟋刑法p8
※前田説。総論思考方法p146
※窃盗眪の保護法益は「占有」
※前田説。総論思考方法p71 芏範ずあおはめはリンクしおいるか
※5前半は前田説。埌半はごちゃたぜ。事䟋刑法p38
※この問題提起はいいのかよくわからない。
※問題提起が意味䞍明。どうすべきか芁怜蚎。
※西田流。p301


総論思考方法 、、
各論思考方法 たで
新刀䟋 
西田 䞍胜犯 p306
   間接正犯 p327
総論癟遞 間接正犯
各論癟遞 窃盗か占有離脱物暪領か