こんにちは、たいへんご無沙汰してしまいました。あっという間に一か月半以上経過していましたね。
さて、今回はあの独特のトグル・アクション(「尺取虫」メカニズム)で有名な『ルガーP08』を特集してみようと思います。
現在自動拳銃用の弾丸として広く使われている『9ミリパラベラム弾』は、この銃のために開発されたもので、俗に『9ミリルガー』とも呼ばれます。(「パラベラム」とは、ラテン語の「パラ・ベルーム」で『戦争に備える』の意味。)
1908年にドイツ陸軍が制式ピストルとして採用したことから、P08 (Pistole 08)と名づけられました。ヨーロッパ諸国では『パラベラムピストル』と呼ばれています。『ルガーP08』とは、アメリカでの輸入元となったストーガー社が、「パラベラム・ピストーレ」では市場においてインパクトが無いということで、リューゲルの名を勝手に米語読みのルガーとして冠し、ドイツ軍の制式名「Pistole 08」を略して付けたものですが、最早正式名称と言っていいほどに浸透しています。
1938年に後継の「ワルサーP38」が採用されるまでの30年間ドイツ軍の正式ピストルの座にありました。また空軍ではヘルマン・ゲーリングにより最後まで制式拳銃として採用され続け、1945年の終戦までに約46万挺が製造されました。
一般的な「ルガーP08/パラべラム・ピストル」である 4インチモデル。
エングレーブが美しい、通称『ゲーリング・ルガー』
「アドルフ・ヒトラー」の片腕とされた「ヘルマン・ゲーリング」は、
この『P08』をたいへん好んでおり、国家元帥昇進の際には、
製造元のクリーフホフ社より2挺の文様入りP08を贈られています。
(写真はそのうちの一挺。実銃ではゴールドではなくサテン・シルバー。)
ルガーP08 マリーネ(ネイビー)
ドイツ海軍用6インチ銃身モデル。
2段切り替え式のリアサイトを、トグル後部に有します。
ルガーP08 ランゲ・ラウフ(アーティラリー)
写真は銃床と「スネイルマガジン」と呼ばれる32発の多弾装
マガジンを装備したもの。スネイルマガジンは「MP18」(短機関銃)
にも使用可能であるため、自動小銃実用化以前の1910年代には、
大型の手動ライフルよりも軽便ながら一定の威力がある
「カービン銃」代用品として一部の兵士に供給されました。
第一次世界大戦・および第二次世界大戦で、
ヨーロッパ出征アメリカ兵たちの間で、この『ルガーP08』は
最も人気の高い戦利品とされました。
独特の設計と凝ったメカニズム、品位のある外観から、
現在でも収集家の間で高値で取引され、状態のいいものに
日本円で140万以上の価値がついたこともあります。
米国内では複数のメーカーが『ルガーP08』のコピーを販売しています。
このドイツの銘銃『ルガーP08』は、世界中のマニアから、
銃というよりは一種の工芸品として愛され続けています。
*掲載写真は上から
・実銃の「ルガーP08」(ネット収集画像)
・「ゲーリング・ルガー」(マルシン工業製金属モデルガン)
・「6inchマリーネ」(タナカワークス製ガスガンHWモデル)
・「8inchランゲ・ラウフ」(マルシン工業製金属モデルガン)
・「8inchアーティラリー・フル装備」(ネット収集画像)