尾瀬 | 良田 寛(ペンネーム) 新老いらくの記

良田 寛(ペンネーム) 新老いらくの記

いつのまにか「老いらくの記」という言葉が似合う、それなりの歳になってしまいました。
精一杯生きてきた事を何かに残したい、足跡を何かの形で残したいと思っています。

 尾瀬は5年ぶりになる。前回(2019年6月1日)はミズバショウの季節に尾瀬ヶ原を一周した。鳩待峠から山ノ鼻へ抜ける道には未だ所々に雪が残っていた。下ノ大堀川は雪解けで水量も多く、ミズバショウは満開だった。その景色を家内にも見せたいと思った。

 今回(2024年6月1日〜6月2日)は家内、家内の友人と共に、沼山峠から尾瀬沼へ入り、尾瀬沼北岸、白砂峠を越え、見晴へ。赤田代の温泉小屋へ一泊し、尾瀬ヶ原を横切り、山ノ鼻、鳩待峠へと歩いた。いわゆる尾瀬を楽しむ一般的なメインコースとなる。

 沼山峠から下っていくと大江湿原にでる。可憐なミズバショウがあちこちに咲いている。その先に尾瀬沼が見える。私にとって初めての尾瀬沼は、思っていたよりも小さかった。ここから見る燧ケ岳(ひうちがたけ)とは対照的で、周囲の木々に埋もれるように、尾瀬沼は静かで穏やかだった。木々の種類が違うようで、尾瀬ヶ原とは違った表情を見せてくれる。尾瀬沼の北岸にも小さな湿原が広がっており、いたるところにミズバショウが咲いていた。

 尾瀬ヶ原はどこを切り取っても、素晴らしい景色を見せてくれる。至仏山(しぶつさん)や燧ケ岳を背景にしても良い。池塘も良い。竜宮からヨッピ吊り橋へ向かう道もいい。山裾が近く、木立がぐっと近づいて来る。
ただ、今年の下ノ大堀川は、水量が少なく、ミズバショウの花も少なかった。今年は雪が少なく、雪解けも早かったようだ。暖冬の影響がここにも見える。時期的には標高の高い尾瀬沼のミズバショウが最盛期で、我々の目を充分楽しませてくれた。
 
 尾瀬はなぜここまで人々を魅了するのか? 選ばれた人以外を拒絶する険しい山々と違い、それは万人を受け入れる優しさを持つ。今回木道の上をたくさんの年配の方とすれ違った。外国の方もいらっしゃった。尾瀬は、その美しさを、分け隔てなく、万人に見せてくれる。広大な尾瀬の中にいる自分が、とてもちっぽけであることがうれしい。


 上 燧ケ岳と尾瀬沼

 下 見晴から見た尾瀬ヶ原(至仏山)