動き出す春 | 風が吹く日も、雨の日も

風が吹く日も、雨の日も

着物と子どもと「おいしいは正義」の日々。街歩きや美術館なんかも好きです。

子どもが義務教育を受ける期間は教育相談という形でカウンセラーの面談を無料で受けることができたのですが、中学を卒業する時期になり高校進学をしないとそこで打ち切りになってしまいました。

それ以来、本人・家族とも何の支援もなく過ごしていました。

 

しかし3年ほど前から、区の事業でひきこもり支援をしているNPOの方と面談をしています。

区の広報でその事業を知って、連絡を取るとスムーズに受付をしていただき、今に至ります。

ひきこもり当事者の年齢は問わず、また本人でも家族でも支援してくれるありがたいサービスです。

ひきこもり支援では、本人が義務教育を終えるとか成人してしまうと、支援対象を本人に限定してしまうものが多く、しかし出てこない本人を支援することは難しいために、結局本人も家族も全く何の支援も受けられない状況が多いと思っています。

私が見つけたものは区の事業なので無料で家族への支援が受けられます。以来、大体3ヵ月ごとぐらいで面談をしています。

 

うちの子供さんが家に引きこもって、ほぼ10年が過ぎました。

その間に子供さんの心の中ではいろんなことがあり、子供さんの外から見える状態も変化していきました。

ここ最近は大分安定してきたと思っていたのですが、それでも年に1~2回沈み込んでしまう時がありました。

理由を尋ねてもはっきりと言うことはあまりなく、私も敢えてしつこく尋ねることはしません。

子どもさんが自分の気持ちを言葉にするのは難しいことが多く、また本人が言いたくないことや私が聞きたくないことがある可能性も否めないからです。

 

今年の一月下旬に気持ちが揺れた子どもさんは、ひと晩荒れて私にいろいろと文句を言った後に話し合いに応じ、その中で自分から支援者面談を希望しました。

子どもさんは父親にかなりひどい扱いをされた為にすっかり男性が怖くなってしまっているので、面談相手は女性でないと無理です。

お世話になっているNPOには幸い女性スタッフがおり、以前も一度本人との面談を試みたことがありました。

今回改めてその方との面談をセッティングして、約一か月後にそれが実現しました。

子どもさんは、ほぼ10年ぶりに、母親と医者以外の大人と会話しました。

子どもさんの支援者面談は、今後も継続予定になっています。

 

私は以前から、子供さんが社会復帰するためには、家族以外の信用できる大人との関係構築がどうしても必要と考えていました。

その最初の一歩を踏み出した形です。

ちゃんと自分から足を出してくれました。

何もしなくても、時間が過ぎるだけで状況は変わるんだと思っていました。

それがいつ、どんな風に起こるのかは誰にもわかりません。

でも本当にそれは起こることを、また見ることができてよかったなと思います。