お祝いごとがあり、初めて訪問着に袖を通しました。
田舎の叔母が「いい反物がある」と言ってきて、私に訪問着を仕立てる話しになったのは結婚前だったか後だったか記憶が定かではありません。
当時は何のことかさっぱり判りませんでしたが、昔は嫁入り道具のひとつとして、訪問着を一枚持たせるものだったようです。
田舎の叔母は流石に田舎の人らしく、「いい生地があるから」と持ちかけてきて着物の喪服も夏用と冬用併せて仕立てたことがありました。
これも当時は「なんで喪服?」と思いましたが、母が言うには、そう言うものは何でもない時に用意しておくものだそうです。
今になるとそうだなぁと思いますが、本当に当時は何のことか理解できませんでした。
さて、きっと仕立ててもらって20年近く放置されていたであろう訪問着は、この度やっとしつけを取る運びになりました。
何故か礼装用の帯〆が全然なかった(母の持ち物の中にもありませんでした)ので、お世話になっている呉服屋さんで色の合うのを見繕ってきました。
帯留に三部紐でもいいと言われたのですが、礼装用の帯〆も締めてみたかったのでした。
帯は、母が残したものですが、母は一度も締めていないものです。
百貨店で販売の仕事をしていた母が、B反として安く出されている丹後ちりめんの反物を持っていて、私の附下として仕立てに出す時に、自分用にとやはり反物で持っていた帯を仕立てたものでした。
着物を着ることがすでになくなっていた母は折角の帯を締める機会がなかなか訪れず、この帯は子供さんの七五三でその附下を着た私に貸し出されました。
そしてそのまま、ずーっと私の箪笥の中に眠っていたのでした。
カジュアルな場だったので、半衿で遊んでみました。
これは、和柄に目をつけて買った木綿の端布で作ったものですが、鶴が飛ぶ吉祥文様で普通には使えず行き場を失っていた惜しい半衿でした。
上等な着物なので着付けをお願いしていたのですが、その方が、この衿は面白いので大目に見せてやろうということでかなり見える状態に敢えてしています。
本来は刺繍の上品な正絹の半衿なんかが適当かと思います。
また機会があれば、母が残したものが何枚かあるのでつけてみたいと思っています。
着付けてくれた呉服屋さんのいつもの担当の方に、これは縫い取りちりめんですね!と教えてもらいました。生地がよいので、きっと3回くらいは染め替えができると思う、最終的には黒くして黒留袖にできますよ!とのことで、そんなに上等なのかーとびっくりしました。
確かに生地はずっしりと重いので、よいちりめんの生地なんだろうなと思います。
ただ、この直前に着物の落款のようなものを頼りにウェブで検索してみると、全く同じ商品の中古が安く売られていたので、なんだかケチがついたような気になっていたのでした。
仕立てた古着が安いのは仕方のないことですね。
着物の良さと、いくらの値段がつくかは別と考えた方がいいかもです。後、自分がどれくらい気に入っているかも大事です。
色の白い着物はほとんど持っていないと思っていたのですが、この着物はほぼ白で、裾にグラデーションで少しグレーの染めがあります。
柄も年齢を問うものではないと思うので、年齢を重ねても着ることができそうです。
背にひとつ紋が入っています。普通、訪問着には紋はつけないそうなのですが、叔母に任せていたらこうなりました。紋があるので、色留袖の準礼装くらいの格になるようです。正式な礼装にするなら、やはり五つ紋にする必要はありますが、それ程格式にこだわらないならこれで披露宴に出席してもいいかなと思います。
ちなみに、今回はヘアのフルセットとフルメイクをミナミのとある美容院にお願いしました。
あまり化粧も上手くないので、この機会に綺麗にしてもらいました。
髪には、この為に用意した簪を差してもらいました。
いろいろ調べましたが、大阪市の端っこである地元の美容院より、ミナミやキタの繁華街にある美容院の方がサービスメニューが豊富で、価格も低めでお得感があることがわかりました。
今回選んだのは着付けをお願いしている心斎橋の呉服屋さんから歩いてすぐに行ける雑居ビルの中の美容院でした。ウェブで検索して、電話で予約しました。
美容院の中はいいのですが、ビルの入り口から美容院までの通路と階段が怪し過ぎる!これぞミナミ!って感じでした。
美容院のスタッフもサービスもいい感じだったので、リピートする予定です。
簪でフィーバーしてしまいそうな、危ない今日この頃。
次の週末には、附下を着る予定です。
【追記:2013/11/12】
この着物の絵柄には「四季心華屏風図」という名前が付けられているそうです。
ウェブを検索すると、この着物を友禅染めで黒留袖にした画像が見つかりました。
持っているのは留袖専門のレンタル店で、その黒留袖の三泊四日レンタル料金は\19,800でしたw
(もとは\49,800だけど60%offだって。古くなったのかな~)
製造されたのは、京都府与謝郡の柴田織物さんということもわかりました。