手作り時計のJHA 時計作家 ks の時計ブログ -4ページ目

ハイブリッド思考

 先日、たまたまテレビを見ていたら、面白い取り組みをしている方が紹介されていました。

 電気を使用しない家電、つまり「非電化家電」とやらを作っている方で、失礼ながらお名前は覚えてないんですが、もともと大学教授で現在は引退されて、趣味も半分かねて作っているようです。

 例えば、放射冷却の原理を巧みに利用した電力を使わない冷蔵庫、なんらかの化学反応の作用を利用した、やはり電力を使わない除湿機、などなどです。

 すご~く良いですね。僕が考える「節電より脱電」、「反原発より脱電力」と考え方としては、似たところがあると感じました。

 ただ、これらの非電化家電は、それぞれ欠点があるようです。例えば、除湿機は、晴れの日でなくては使えない、とのこと。つまり雨や曇りの日でじめじめ湿度の高い日では使えないのだそうです。さらに、晴れの日でも、(陽が出てから)、除湿効果が出始めるまで数時間はかかるそうです。

 そりゃ非電化なんだから、ちょっとした欠点はあるでしょうけど、これが、ホントに製品化されて広く一般に実用品としてでまわるには、やっぱりキビシイかもしれませんね。

 そこで、提案したいのが、「ハイブリッド」の製品です。

 だいぶ前にハイブリッド自動車が登場して、あっという間に各メーカーの主力車種になってしまったようですね。

 最初にハイブリッド自動車、という言葉を聞いた時には「何それ?」って感じでしたが、電気とエンジンを使い分け、走行中に充電してしまうなんて考え方には、「なるほど!」って感心しました。

 そこで僕が提案したいのは、ハイブリッドの考え方を巧みに取り入れれば良いのではないか?ということ。

 先述の非電化の除湿機にしても、使えない日には電気で使用する。また非電化の効果がでてくるまでは、電気を使用して、効き始めたら電気が切れる、なんてのはどうでしょうか?

 僕が提唱する、電気を使わない、ゼンマイなどの動力を使用する製品にもこのハイブリッドの思考が活かせると思うのです。いえ、ハイブリッドを巧みに利用するからこそ、実用が可能になるのではとさえ思います。

 僕は前回、エレベーターさえも動かせると、このブログに書きましたけど、きっとそんなの無理でしょう?巻き上げるのは大変だし、ゼンマイのエネルギーがなくなってしまったら止まってしまって大問題でしょ、と思う方もいらっしゃるでしょう。

 でも、ハイブリッドの考え方で、ゼンマイのエネルギーが無い時(巻き上げていない時)は電力で動作させる。でもって、電気で動かしているときに、この動作を利用して自動的にゼンマイを巻き上げてしまうのです。

 また、電動、じゃなくてゼンマイ・アシスト自転車も、同じような考え方を応用するのです。普通に漕いで走っているときにゼンマイを巻き上げてしまう。それで、急勾配の昇りにさしかかった時などにゼンマイの補助動力が効くようにする。まして下り坂の時などはゼンマイ巻き上げのチャンス、ですよね・・・。

 ホントにそんなことできるのか!?って疑ってる方も少なく無いでしょうけども、さほど技術的に難しいとは思えないんですよ。

 むしろゼンマイの動力は、「脱進機」と併用することによって、極めて手堅い実用的なエネルギーだと思うのです。
 
 まだお疑いの方は、「自動巻き」の時計のことを思い出してください。ご愛用している方もたくさんいらっしゃると思います。まだ現役の実用品ですから。というか最近人気が再熱したりしてます。

 機械式時計の基本は、手巻き式の時計。自動巻きの時計は、おもにムーブメントの後ろにローターがついている。

時計を着用されていいる方が動くことによってローターが振れて、これが自動的にゼンマイを巻き上げる、というものです。

 機種によっては、ローターによる自動巻き機能と、手巻き機能の両方を備えたものもあります。

 この自動巻き時計も一種のハイブリッド製品だと思います。着用する人間の日常生活の動きだけで自動的に巻き上げてしまうわけです。とても激しく動きすぎたからといって、それでゼンマイを巻き上げ過ぎて、ゼンマイを切ってしまったりする心配は無く、ちゃんと制御して動きを逃がす仕組みにもなっているわけです。

 どうです、だんだん出来るような気がしてきませんか?