京都国立博物館で、久しぶりの国宝展が今月26日(日)まで開催されています。
それにちなんで、ちょっとした東西比較を。
国宝・重文を多く所蔵(所有)するのは、やはり旧財閥系と鉄道系の美術館でしょうか。
まず東京で。
三菱系の静嘉堂文庫美術館では、岩崎弥之助・小弥太父子のコレクションを中心に国宝7・重文82件ほどを所蔵しているようです。
三井記念美術館は、国宝6・重文22件ほどの所蔵のようです。
東武鉄道の社長などを務めた根津嘉一郎のコレクションによる根津美術館は、国宝7・重文90件近くを所蔵しているようです。
五島美術館では、東急電鉄を創設した五島慶太のコレクションを中心に国宝5+3・重文50+20件余(+は大東急記念文庫分)を所蔵しているようです。
その他、畠山美術館が国宝6件、大倉集古館が3件ほどを収蔵するようです。
次に関西。
住友のコレクションの多くを収蔵する京都の泉屋博古館は、国宝2・重文13件ほどの所蔵のようです。
阪急電鉄を創設した小林一三の逸翁美術館は、重文15件ほどのようです。
関西、特に泉州には、繊維産業関係で財をなしたコレクターが多く、泉北郡忠岡町の正木美術館は国宝3・重文12件ほどを所蔵しているようです。
和泉市久保惣記念美術館は、国王2・重文29件ほどを所蔵しているようです。、
京都市の細見美術館の細見さんも、出身は泉大津市のようです。
関西で最も国宝を所蔵する私立美術館は、たぶん長州藩の萩出身で、明治に財閥「藤田組」を創業した藤田伝三郎の蒐集品を展示する大阪の藤田美術館でしょう。国宝9件・重文52件ほどを所蔵します。
国宝は全国に千余件(重文1万余件)ありますが、都道府県では東京都が一番多く276件ほどのようです。そのうちの89件ほどは東京国立博物館所蔵です。
関東・関西ということになると、関東は東京以外は少なく二番手の神奈川県で18件ほどです。関西は、二府四県合わせれば600件近く、関東の倍ほどになります。しかし、同じ国立博物館でも京都は28件、奈良は13件ほどと、東京よりずっと少ないので、寺社や民間での所蔵が関西では多いということになるのでしょう。
東京や関西以外では、名古屋の徳川美術館が9件、防府の毛利博物館が4件ほど所蔵しているのが多い所でしょうか。
東京一極集中以上に、やはり歴史のある関西に集中しているのですが、関西は良くも悪くも多様であり、京都や大阪への一極集中ではありませんね。
関西各地が協力しあって、その魅力をさらに上手に発信できればいいのになあと思います。