太陽光事業に関する不正疑惑がありましたが、

もし仮にこの企業に融資を出していたらと考えるとゾッとします。

どの金融機関もこういったリスクを背負いながら融資業務を行っています。

まぁ、こういった不正に加担している金融機関職員もいたりしますが。。。

 

 

太陽光売電事業が活発化してきたのは2011年頃からでしょうか。

 

まだ入組してない時期なので、融資案件としての取組開始の状況は残念ながらわかりません。

聞くところによると、この頃も色々な不正や詐欺まがいのような話も多かったようです。

実際に現地へ見に行くととても設備を設置できるような立地ではないとか、

所有者の許可なしで土地を売却に出したりだとか。

また、遠隔地であることが多くなるので地銀さん等は早々に手を引いたりしていたようですね。

 

今は売電価格もかなり下火なので新規案件は殆どなく、当初から経産省の申請認可を取っていた業者さんだけが手掛けている

印象を受けますね。私が案件に携わり始めた頃には急激に売電価格が下がり始めていました。

しかしながら、その分設備費用もかなり安価となっていたので利益確保はできています。

現在の11円はさすがに設備費用が安くても利益が出るとは考えにくいですね。

 

パネルなどの設置費用や返済元利金を差し引いてキャッシュフローが確保できるかどうか。単純な話です。

ですが、細かい仕組みやルールがなかなか理解できず過去の事業計画に打ち込まれた数式を読み解きながら理屈を覚えていきました。

慣れてしまえば稟議作成から実行、実行後の管理等は単純作業。

設置費用が総額いくら、固定資産税や維持費、パワコン入替時期の赤字がどの程度か、返済含めても20年間で9%程度の利回確保。周辺状況からも日陰になるような遮蔽物が建設される見込なし。

もはや記載するのはこの程度のことです。

 

ただ、私が太陽光事業において一番気になっていることは、

20年間の固定買取期間終了後のことです。

 

一程度の価格で買取してくれれば良いですが、

1円たりとも買取しないとなると、ただの産業廃棄物なんですよね…

撤去するのにも当然費用がかかります。

20年間のキャッシュフローで得た収益が撤去費用にもっていかれるようでは事業としての意味もない。

また、大量の産業廃棄物が発生して環境にも良くない。となったら何の為にやったんだろうかと。

買取が継続されても、設備保証は全て切れているし、故障も続くでしょう。維持費用負担に耐えれるでしょうか?

 

目の前の案件を捌くだけでなく、こういった事業の将来性についても検討した上で融資対応を図るべきかなと思います。

また、こうして関わった以上、他人事ではなく融資をした立場として廃棄問題にも関わっていくべきかなと。

各金融機関の動向も含めて、気になる業界です。

さて、前回は金融機関による物件評価についてご紹介致しました。


今日はその中でも一般的に利用される、路線価算出方法を説明できればと思います。


物件評価に必要な資料は

①路線価図

②奥行価格補正率表

③本年度再調達原価表

④土地建物謄本

⑤公図

⑥用途地域等疎明資料

⑦物件地図及び写真

の7つが基本です。


①路線価図

路線価が設定されている道路に1㎡毎の単価が記載されています。国税庁ホームページから印刷。路線価の表記方法により、繁華街や普通住宅等の区分が設定されています。

②奥行価格補正率表

間口、奥行距離から路線価に対する掛目の設定がされています。最新版は平成30年度からのものです。これも国税庁ホームページにて。

③再調達原価表

同等の建物を建築する際の費用単価として採用します。国土交通省が発表。

毎年若干価格に変化があったりします。

木造や、鉄筋コンクリート等の構造で変わってきます。

④土地建物謄本

登記上の地目や平米数、建物の建築日、その土地建物の所有者、土地建物に対する根抵当権設定状況等を把握することができます。

法務局にて取得。

⑤公図

土地の形を表した地図。

この地図から間口や奥行を測定します。

⑥用途地域等疎明資料

各自治体が発表している用途地域マップから〇〇地域等を特定し、建蔽率や容積率を調査。他にも防火指定の有無なども確認できます。それから、接面道路も調べることができるので、公道か私道かの判別や、道路幅員を確認します。

⑦物件地図及び写真

現地調査による写真を添付します。外観状況や周辺建物も写るように、境界等も撮影しておくと良いでしょう。


具体的な算出ですが、

仮に

路線価地区区分を普通住宅、間口10m、奥行20mの整形地。路線価は50千円。

平米数は200㎡。木造住宅平屋建 床面積100平米。建築日は令和3年1月29日。

と仮定します。

まず、土地の評価額は

路線価50千円×奥行補正率1.0=50千円

50千円×200㎡=10,000千円(評価額)

担保価は70%として、7,000千円。

建物評価は

再調達価格(木造)150千円×100㎡×残価率0.954=14,310千円

※残価率=(耐用年数22年-築年数1年)÷耐用年数22年

担保価は70%として10,017千円


以上から、

土地建物評価額合計24,310千円

土地建物担保価合計17,017千円と評価します。


この土地建物を持ち主が50,000千円で売りたいです。ってなると、それは評価額の2倍近い価格だし購入するメリットないよね。ということになるし、早期に売却したくて24,000千円で売りたいということになれば購入希望者は即集まります。

この評価は角地だったり、奥行距離、間口距離、土地の形状によっても差が出てきますが、基本的な算出方法をここに残しておきます。

是非、参考にしてみてください。


最近、太陽光事業者の事件が世間を騒がせていますね。

太陽光の今後については私も不安に思っています。

新規の太陽光事業への参入は殆どないかもしれませんが、太陽光事業への取組について次回投稿しようと思います。


土地、建物を購入したいという融資相談。

まず行うのが物件の評価額と担保価の算出です。


毎年7月に更新される路線価

毎年4月に発行される固定資産課税明細書

土地家屋調査士による鑑定評価


この3つの方法のいずれかを用いて価格を弾き出します。

最もよく利用される路線価は土地の接道部分の間口となる路線価を採用します。この路線価が高いほど、土地の価格も高くなっていきます。

角地だと更に高くなったりもします。


固定資産税評価(倍率評価)は固定資産課税明細書や評価証明に記載されている評価額を基に産出します。

土地であれば、

評価額×1.1倍(倍率表)×1.25=評価額とします。

建物には評価額をそのまま採用します。

路線価が設定されていない地域ではこの方法を採用します。


鑑定評価については費用もかなりかかるので、限られた大口先や管理先のみが対象となります。

ただ、最も高い評価を算出できる方法でもあります。周辺状況や相場も含めて詳細に調査されているので、他の採用方法に比べて信用度も高いということですね。


さて、これらの数値で何を見ているかですが、言葉の通り担保取得した場合にどのくらいの価値があって、リスクをどこまで抑えられるか。ということです。

他には支店内決裁の権限範囲内に抑えられるかどうかということにも関わってきます。


例えば、10,000千円以内の決裁権限が店舗に付与されている場合、融資額が20,000千円でも担保価(ちなみに評価額×70%を担保価としているところが多いと思います)が10,000千円あれば支店内で決裁できる。ということになります。

この枠を超えると本部稟議になるので、可否判断にも時間がかかるようになります。

当然、本部と直接話すことはできないので店内決裁の方が遥かに早いし事業計画も説明しやすくなります。


融資担当者が店舗の枠を教えてくれるかどうかわかりませんが、相談を持ち込む前に自身で評価を算出できると金融機関への説明もし易くなると思います。


※路線価算出には計算方法があります。

 また、別途説明する記事を出したいと思います。

年も明けて、当組合では自己査定作業が始まりました。


平日の通常勤務後の残業、休日出勤にて対応行なっています。


自己査定は金融機関が自己の保有する資産の基準を査定し、適切な引当金を計上することを目的としています。


一定の基準を超過する顧客を抽出し、

その顧客一つ一つに対して、

正常先、要注意先、要管理先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先と債務者区分を判断をしていきます。


正常先は繰越損失や赤字計上あるが、要因もはっきりしているし黒字転換までの見通しがハッキリしているような先。

要注意、要管理先は借入の返済条件変更している先や最終回に返済しわ寄せになっている先、また繰越損失の拡大や債務超過解消できない先など多岐に渡ります。

破綻懸念先は事業継続しているもののいつどうなるかわからない先。

実質破綻先、破綻先は差押や自己破産などの法的措置を取っている。倒産して、保証人が給与所得などから少額返済しているが完済まで何十年も要するような先です。


パターンは様々あり担当者によって考え方も違いよく債務者区分の決定について協議という名の口論大会も始まります。


区分が下がると引当金の額も膨らみ金融機関にとっては不都合ですが、不都合を隠してわざと区分を上位に持っていくというのも自己査定作業の意味を無視していることになります。

担当者、役席で相互に内容を検証して正しい債務者区分にあてはめていくことが重要となります。

特に難しいのが、要注意先と破綻懸念先のどちらに当てはまるか。というところです。

これはもう担当者の手腕でしょう。

担当者はお客様の状況等、全て理解していないと判断できません。

私が査定作業を行い、破綻懸念先へランクダウンした際に担当者である役席に検証を依頼しました。

表面財務や過去の稟議書をひっくり返して判断した区分は担当者であるその役席が収集した情報をまとめあげ、要注意先のまま。となりました。

説明文の書き方もそうですが、言い換えるだけでも説得力はかなり変わってきます。

破綻懸念先でも正解だし、要注意先でも正解。

金融機関毎や、役席毎で区分判断は変わってきます。


今回から初めて査定作業に携わる職員への指導も並行しながら作業をしていますが、判断までのプロセスや日々の業務での情報収集の重要性を理解してもらえるようにしたいですね。



明けましておめでとうございます。


年末は新型コロナウイルスの蔓延もあり、店舗内外ともにバタつきました。

様々な事務作業に追われ、顧客との調整に追われ大掃除もまともにできなかったのは心残りです。


2022年から2023年になり、新型コロナウイルス対応資金の元金返済が始まる企業が一気に増えていく年度になりました。制度開始直後に借入を行った経営者様は2023年5月頃から順次元金返済開始となります。

慌ただしく役所へ認定申請を提出し、信用保証協会へ申込書類を送付しまくっていた日々が少し懐かしいです。


コロナ資金対応を行っていた店舗から異動しているので、当時の顧客の現状は把握できていませんが、必死に説明した元金返済開始までの経営基盤再構築はどうなっているのか気がかりなところです。

内部留保は潤沢にあったが、コロナ対応を行った先。

売上が大幅に下がったわけではないが、念の為に借入を行った先。

本当に影響を受けて借入を行った先。

私としても何が正解か、審査可否の判断基準も曖昧なまま奔走して担当顧客の半数以上へ融資実行を行いました。

あの時の貸出が正しかったのかどうか、答えが出てくる重要な年となります。

しかし、この未曾有の大混乱の中でも普通に行われた人事異動には職員も顧客もあまり納得できていないのではないかと感じます。

私個人としては互いに混乱してる中で経営再建等、検討しなければならない状況下で新しい担当者へ引継ぎを行いました。

顧客からすれば業界動向すら先行不透明なのに、自社のことを把握できていない新担当者と新たに話をしていくのは相当な負担だったと思います。


いずれにせよ各担当者は担当顧客の現状をしっかり把握し、元金返済開始後も充分なキャッシュフローがあるのかどうか、ないのであれば具体的な対策案の構築をしていかなければなりません。


貸出を行ったからには責任があります。

地域の組合員様から預かった預金が運用されています。保証協会付の融資だからと言って回収懸念無し、という考えは好みません。確実に回収を図り、かつ、顧客目線での対応を心がけていきたいものですね。

これは永遠の課題です。いつか、自分なりの答えを見つけ出すのが信用組合職員として目標です。