融資の基本は建設業者様との対応で鍛えられます。仕組みもわかりやすく、お金の流れも把握しやすいので流れを知ってしまえばサクサク対応が出来るようになり、お客様からも喜んでいただけます。


信用組合職員は広く、可能な限り深く業界について知っておく必要があります。

建設業で知っておいて欲しいのは500万円以上の請負工事を受注する場合には、建設業許可が必要となります。

融資をしたが、実は建設業許可を取得していないにも関わらず、受注を受けたことで処分を受けると信用を失い受注が取れなくなり事業の継続が困難になる。等、金融機関にとってはかなりの影響が出てきます。


建設業で必要となる資金は受注工事代金受取までの短期運転資金で手形貸付にて対応するのが基本です。

受注工事代金の受取は契約によって異なりますが、着手・中間・完工の3分割や、完工月翌月末一括、毎月出来高請求後翌月末払など様々です。

全ての工事を完工月翌月末一括で契約してしまうと一時的に資金が枯渇してしまいます。なので、金融機関側は受注代金受取日を返済期日とし、手形貸付として融資取組を行います。


私は融資の前に

①許認可有無の確認

②受注予定の確認

③資金繰りの確認

④請負契約書の確認

以上の4つの点に着目します。

①許認可については上記で説明した通りです。

②受注予定の確認は、今動いている工事状況とこれからの受注状況を確認しましょう。

これにより、経営能力をある程度把握できます。

経営者であれば当然全ての工事状況を把握できているか、むこう何ヶ月分の受注状況を把握できているか。そういう意味も含めています。

③受注状況が把握できた後は、資金繰りの確認をします。

手元現預金+当月受取代金−当月支払代金−人件費他

にて毎月の受注予定と整合性を取りながら作成していきます。作成はわかる限り全てですが、実際に必要なのは返済月迄のもので十分でしょう。この資金繰表を受注工事予定表とともに経営者がある程度作れるようになると、何月に一時的に資金が枯渇するかも。等がわかるようになり、急遽工事が中止になった際に素早い対応が可能になるのです。

定期的に金融機関担当者に提出しておくと、可否判断が更にスムーズとなるので建設業経営者はご自身で作成するか、経理担当者に毎月作成するよう指示しておきましょう。

④最後に請負契約書の確認です。ただ、中小事業者においては請負契約を締結せず、口約束であることが多いです。これはトラブルの基になるし、支払条件が請負契約書に記載があれば金融機関側も把握がしやすいです。請負契約を締結してないことを理由に上席から否決されたこともあります。受注先が私たちと取引のある場合などであれば説明も可能ですが、全くの新規取引だと注文書だけでは信用に足らない場合もあります。

請負契約は必ず締結しておきましょう。


以上の4点を収集し、細かい情報を集めれば融資稟議説明書が完成します。こう考えると、そんなに難しくないと思いませんか?

初めて融資取組する信用組合職員も結局はどんな情報が必要となるのかがわからないので融資に対してハードルがあるのだと思います。


これから融資業務への取組を始める担当者様、融資の相談を行う建設業経営者様にこの情報が届いて、互いに有意義でスムーズな面談ができるようになってほしいなと願います。


損益計算書とは、年間を通じてその企業の売上から原価や費用を差し引いて、最終的に利益がいくら残ったかを示す表です。

 

結論から言うと、最終利益が赤字であることはさほど問題視しません。

なぜかと言うと、過剰な役員報酬・減価償却費を加味すると実質的に黒字である。ということが中小企業では多いのです。

 

法人税は様々な損益を差っ引いた後の数字に課税されてくるので、最終利益をマイナスにしておけば節税目的であるという見方もできます。

 

過剰な役員報酬の金額と言うのは定められていませんが、役員報酬7,000千円以上は企業の利益とみなしてる金融機関も多いのではないでしょうか。

減価償却については結構有名な話なので詳細は割愛しますが、実際には現金の動きのない費用として計上されているので利益として判断します。


最終当期利益+減価償却費+役員報酬過剰分で企業の実態を修正する。というのは信用組合に勤める人間として必須の知識となるでしょう。


ご融資をお断りする場合が多いのは、実態修正をしても本業が儲かっていない法人様が殆どです。

しかし、ここからが通常の金融機関と違うところです。


私の組合では、事業性評価というものを積極的に取り入れています。

これは企業の強み弱み等を加味し、将来性を検討する為に用います。

現状が赤字、債務超過でも強み弱み、市場チャンス等を徹底的に絞り出して業況改善に向けた取組を相互で行なっていきます。

事業に対して真摯な経営姿勢は人柄も重んじる信用組合にピッタリな取組方法です。

当然、金融機関や融資担当者によって事業性を重視するか目の前の財務内容を重視するかは違うので理論武装をして各金融機関へ相談してみてください。

味方になってくれる担当者が見つかるはずです。

ただ、信用組合側も地域の皆様の預金を融資として運用しているので慎重な検討となることはご理解くださいm(._.)m

法人経営者であれば、必ず通る道である銀行への決算報告。

 

決算書の提出は取引約定書に記載のある通り、融資がある間は必ず提出する義務があります。

正当な理由なく、提出を拒む場合や連絡が取れない等の事由が発生すると期限の利益の喪失事由となります。

 

※期限の利益の喪失とは

 締結した契約内容での返済期日迄の分割弁済・一括弁済を行うという債務者の利益を喪失させ、

 直ちに債務の完済を求めること。

 

提出書類は貸借対照表・損益計算書・原価計算書・販管費一覧から別表等、全ての書類です(金融機関によります)

 

私がまず最初に見る点は、

貸借対照表では、資産の増減状況。貸付金の発生。借入金の増減状況。債務超過(負債が資産を上回る状況)の発生有無。

損益計算書では、売上の増減・営業利益の有無

販管費一覧では、接待交際費の金額

以上です。

 

借入金が増えても資産が増えていれば全く問題ないかと思います。

借入金をもって、固定資産を購入した。大きな仕入を行い今後の売上に繋げる等、明確な目的があれば問題ないです。

それによって一時的な債務超過に陥ることも全く問題ないと考えています。

100,000千円で一棟物件(ビルやアパート)を購入。その際に100,000千円の銀行借入を行った場合、

帳簿上の固定資産評価が80,000千円と仮定した時に借入負債は100,000千円。単体で見ると20,000千円の債務超過となります。

が、この一棟物件を購入したことで毎月、賃料収入が発生します。

この賃料から当該借入金の元利金返済を行い、徐々に債務を減らしていける事業計画であれば全く問題のない債務超過。と言えます。

本業をやりつつ、賃収物件を初めて取得した経営者様の中には決算書ができあがった際に本業は利益が出ているはずなのに

貸借対照表で負債が上回っていることに不快感を示す方もいます。

しかし、債務超過になった理由を上記のように説明できると金融機関側もキチンと理解してくれているな。と感じます。

 

問題なのは、仕組みを理解せず、税理士さんに丸投げしていて全く説明できない方です。

どんぶり勘定で、どのお金がどの勘定科目に入っているかも理解していないと説明ができません。

 

特に多いのは、貸付金。会社から誰かにお金を貸している状況ですが、その貸付相手が代表者や役員である場合は要注意です。

金融機関側はこれを社外流出として認識します。そしてその社外流出した先である代表者も内容を説明できないとなると

お金の管理ができない人。という烙印を押されることになります。

貸付金の内訳を知らない代表者の殆どが、経費計上できない領収書等を税理士さんに丸投げし、

税理士さん側も処理に困り、使途不明金として代表者への貸付金として計上する場合が多いと感じます。

 

融資金が個人の生活費等に使われる可能性がある、、、?と思われる要因ですね。

適切な経費処理を行い、税理士からの決算説明をしっかり聞いておくことをお勧めします。

 

長くなるので、今回は貸借対照表の説明で終わろうと思います。

次回は損益計算書から販管費一覧表の注意点について説明します。

渉外係による融資対応の基本は、消費者ローンから始まります。

 

カーローン・奨学ローン等の目的ローン、フリーローン・カードローン等の獲得を目的に行います。

殆どの商品が保証会社付きなので、審査もFAX等で保証会社へ委託するので渉外係も対応しやすい。という点があります。

 

日々の渉外活動で収集した情報をここで活用していきます。

車両の買替時期・車検・子どもの進学・結婚費用の工面等、あらゆる需要があります。

しかし借入に抵抗がある人はやはり多いです。

 

私も情報は収集したものの、その後のセールスには苦労しました。

ですが、スマホの分割購入には皆さん何の抵抗もないんですよね。

スマホの分割購入はローンと同等の扱いとなり、支払遅延は信用情報に登録されます。

 

銀行借入とスマホの分割購入に差があるとすれば、金利がかかるかどうかです。

この部分をうまく説明できると納得してくれる方が増えてくるのではないでしょうか?

 

信用組合ではそこまで消費者ローンの取り扱いは多くないですが、ここで融資の基本を学べると良いです。

が、

審査を自分で行うわけではないので、学べないんですよね。

 

私は、なんとか持って帰ってきた消費者ローンについて

上司から「顧客の収支状況は把握しているのか?返済の懸念はないのか?」と問われ、

何も答えられませんでした。

 

フリーローンの申込でしたが、確かにその方の収入に対して厳しい返済になるような気はしていましたが、

保証会社が可決になるなら別に問題ないだろう。という軽い考えでした。

 

実際、保証会社の審査は可決となりましたが、金利はフリーローンの段階審査で約10%。

上司と相談し、

「借入負担が明らかに高いことから顧客へ審査結果は承認であるが、金利面からも返済負担が高く本申込を謝絶」

との結論に至りました。当然、顧客にも説明をして納得していただきました。

 

本音では新軒消費者ローンで獲得できれば大きく業績を伸ばせるタイミングでしたが、審査の重要性を学べたと思います。

 

渉外係の消費者ローン対応の基本として、

①顧客の需要に合致している商品であるかどうか。

②収支状況から返済可能であるかどうか。

 

特に②は保証会社付きだからといって安易に考えてほしくない点です。

 

融資の決裁権限は役席者・支店長にしかないので社内でのホウレンソウも欠かさないことが重要ですね。

金融機関は預金を集め、集めた預金を資本に融資を行い、融資金利による利息支払いによって売上高を計上します。

 

常に預金を集め続け、常に融資を行い続けることが重要ということですね。

 

渉外係は日々、預金点数・融資点数を気にしながら活動します。

 

預金に関していえば、特に定期積金の獲得は重要な指標となります。

定期預金はある程度まとまった余剰金をお持ちの方向け。

定期積金は将来のライフプランを設計中の方や貯蓄目的のある方向け。といったころでしょうか。

 

この定期積金を獲得できる人ほど、セールスが上達していきます。

現在の定期積金の金利は0.007%前後で、本当に元金を貯めるだけのもの。といった印象です。

しかし、この元金を貯める。ということは結構難しく、若年層世代には全く定着してない商品です。

 

信用組合の渉外係が毎月訪問することで半強制的に集金されることで貯金されていきます。

お客様は億劫な入金を渉外係が訪問してくれて済ませることができて、貯金が貯まる。

信用組合は毎月集金することで情報収集ができる、預金が積みあがっていく。

双方にメリットのある商品です。

信用組合が頑なに訪問活動を続けるのは情報収集をする。ということを重視しているからです。

 

毎回の訪問で、お客様の考え方・ライフスタイル・悩み等を聞いていく中で提案を行います。

この提案ができる職員が最終的に融資の相談にも対応できることに繋がっていきます。

 

ところが、職場内でそういうことを教えてくれる人は皆無でした。

とにかく取ってこい。取れれば融資ができるようになる。という言葉くらいだったでしょうか。

私は部下に対して、上記のような説明を必ずするようにしています。何のために集金活動をしているのか。

何のために毎日営業日誌を提出しているのか。常に考えるように説明します。

 

私と同世代の職員もそこまで部下に指導をしようとする人間は少ないように感じます。

やれ。というだけではモチベーションは上がりません。

何故、この商品を獲得しなければいけないのか理解した上で、交渉を行い獲得できれば成長にも繋がると考えています。


まぁ、若手職員からするとウザい先輩職員の典型かもしれませんが。笑

自身の経験、考え方は周知して良いところを吸収してくれればなと思います。


長くなるので、渉外係の融資対応については次回とさせてください。


急に寒波がきたので、営業職員の方々は体調にお気をつけください。