法人経営者であれば、必ず通る道である銀行への決算報告。
決算書の提出は取引約定書に記載のある通り、融資がある間は必ず提出する義務があります。
正当な理由なく、提出を拒む場合や連絡が取れない等の事由が発生すると期限の利益の喪失事由となります。
※期限の利益の喪失とは
締結した契約内容での返済期日迄の分割弁済・一括弁済を行うという債務者の利益を喪失させ、
直ちに債務の完済を求めること。
提出書類は貸借対照表・損益計算書・原価計算書・販管費一覧から別表等、全ての書類です(金融機関によります)
私がまず最初に見る点は、
貸借対照表では、資産の増減状況。貸付金の発生。借入金の増減状況。債務超過(負債が資産を上回る状況)の発生有無。
損益計算書では、売上の増減・営業利益の有無
販管費一覧では、接待交際費の金額
以上です。
借入金が増えても資産が増えていれば全く問題ないかと思います。
借入金をもって、固定資産を購入した。大きな仕入を行い今後の売上に繋げる等、明確な目的があれば問題ないです。
それによって一時的な債務超過に陥ることも全く問題ないと考えています。
100,000千円で一棟物件(ビルやアパート)を購入。その際に100,000千円の銀行借入を行った場合、
帳簿上の固定資産評価が80,000千円と仮定した時に借入負債は100,000千円。単体で見ると20,000千円の債務超過となります。
が、この一棟物件を購入したことで毎月、賃料収入が発生します。
この賃料から当該借入金の元利金返済を行い、徐々に債務を減らしていける事業計画であれば全く問題のない債務超過。と言えます。
本業をやりつつ、賃収物件を初めて取得した経営者様の中には決算書ができあがった際に本業は利益が出ているはずなのに
貸借対照表で負債が上回っていることに不快感を示す方もいます。
しかし、債務超過になった理由を上記のように説明できると金融機関側もキチンと理解してくれているな。と感じます。
問題なのは、仕組みを理解せず、税理士さんに丸投げしていて全く説明できない方です。
どんぶり勘定で、どのお金がどの勘定科目に入っているかも理解していないと説明ができません。
特に多いのは、貸付金。会社から誰かにお金を貸している状況ですが、その貸付相手が代表者や役員である場合は要注意です。
金融機関側はこれを社外流出として認識します。そしてその社外流出した先である代表者も内容を説明できないとなると
お金の管理ができない人。という烙印を押されることになります。
貸付金の内訳を知らない代表者の殆どが、経費計上できない領収書等を税理士さんに丸投げし、
税理士さん側も処理に困り、使途不明金として代表者への貸付金として計上する場合が多いと感じます。
融資金が個人の生活費等に使われる可能性がある、、、?と思われる要因ですね。
適切な経費処理を行い、税理士からの決算説明をしっかり聞いておくことをお勧めします。
長くなるので、今回は貸借対照表の説明で終わろうと思います。
次回は損益計算書から販管費一覧表の注意点について説明します。