⑨.「イスラム」とは、宗教部族であって国家でない | 未来を語る新宿老人党

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 1.今米帝国のターゲットは、イスラム全体 

第二次大戦後、長く中東で米・イスラエル連合対アラブ連合の争いがあったが、石油王国イランでのパーレビ打倒革命から、米帝国はイラン攻撃した。そのトキは、スンニ派(イラン)対シーア派(イラク)という宗派対立を情報操作としたが、実は米軍がイラク・フセインを傭兵として仕掛けた戦争だった。次に、軍事力を強化したフセインは米軍に反抗して湾岸戦争を起こした。さらに米国同時多発テロ事件に対して、ブッシュはオサマ・ビンラディンを真犯人としてアフガニスタン・イランを攻撃したが、結局は米軍のアフガン占領だけだった。

・さらに、チュニジア・シリア・ヨルダンなどへとターゲットを拡大し、「米帝国対イスラムの戦争」に変化している。今は、イスラム国(元はイラク・シリア・トルコにまたがるクルド人)を「凶悪なテロ集団」と情報操作して、終息の見えないドロ沼に陥っいる。

・流石に米帝国軍も今は疲労困憊し、国連機構でない新たな国際軍を造り日本軍へも参加を強いている。

 イスラムとは「マホメッド」を信仰する集団 

・イスラム教は世界に16億人(人口比23%)おり、キリスト教に次いで2番目に多くの信者を持つと言われるが、最近は特に西欧で増加しており、信徒数ではキリスト教とほぼ同レベルにある。また他と異なる生活特徴も多く指摘されるが、その実態は日本のマスコミでは正しく報じられることが少ない。もともとはキリスト教の兄的立場であり、歴史上はともに仲良く、お互いを認め合ってきた比較的友好な宗教だ。イスラムという名称は、創始者の名称を宗教名に冠していないが、そもそも預言者モハメッドが神から授かった言葉コーランと彼の行動を尊び、毎日礼拝し、日常の生活指針としている。

 「情報操作」よって歪められるイスラム 

伝統的なイスラームの社会生活においては【公正・平等な社会生活】が特に重要視されてきた。個々人がイスラーム的価値観にのっとった公正社会を実現すべきとし、社会的弱者に対する救済が広く見られ、一夫多妻制のシステムも、建前の上では母子家庭の救済策とされる。

・【女性蔑視は偏見だ】品行を保ち、人間の堕落を防ぐために自由を制限する教えとか、女性に家族以外の男性に対して髪や顔を隠すよう求めている保守性もよく知られている。

 「近代化」がもたらした「貧富格差の拡大」が過激派を生んだ 

・現代社会は西欧での産業革命以来、工業が経済をリードし社会の基盤となった。それが「近代化」として各国に拡がった。その典型例が日本であり、逆に、馴染まなかったのがイスラムであった。そこで米帝国は軍事力で「アラブの春」を装って近代化を謀ったが、ヒトビトの生活面では「貧富格差の拡大」と「権力の圧政」であった。言い換えれば、西洋化・近代化とは一部の権力者は潤うが、多くのヒトビトが困窮する事態を造ってきた。これはイスラム教の「公正な社会」とは相いれないものであることを気づいた。これが、米帝国主義への不満の根底にある。

・なお、過激派とは実は一部の「軍事派」であってどこにもいる。特に貧富格差が拡がる社会では生活の不満への受け皿として支持者もでる。でも、多くのイスラム教徒の支持を受けるものではない。

イスラム世界「国家」とはオスマン帝国崩壊後の英仏の利益に基づいて分割したものだ。その結果生まれたのが、イラク、ヨルダン、シリア、・レバノンといった国々の国境線を地図で見てみると、定規で引っ張ったようになっている。そのため、同じ民族や宗派が分断されて複数の国家の下に置かれたり、あるいは少数派の民族や宗派がイラクのスンナ派アラブ人のように、建国以来支配民族になることもあった。その際、西欧から導入した〔民族国家〕の概念が中核とされたが、もともと不合理なものだった。逆に第二次世界大戦後になると、アラブ世界ではアラブ・ナショナリズムという世俗的なイデオロギーによって、欧米に追いつき、追い越すことが考えられ1956年のスエズ危機によって、ナセル大統領率いるエジプトによるアラブ世界の統一によって英仏という植民主義勢力のイスラム世界からの撤退をもたらしたが、、その後対決時代を迎え、「国家対国家」の新しい時代になった。

 「イスラム」の目標は、「規律あるムラ社会」だ 

・今の米帝国対イスラム世界とも問題に関しては、どうも日本の大手マスコミは「凶悪なテロ集団」と米帝国側からの一方的情報を伝えるだけで、人類の23%を占める同胞の正しい姿を報じていない。3-5万年と言われる人類史にあって、今の「国家」はせいぜい「200-500」でしかない。今、改めて「公正な社会規範」が求められている。これは「国家概念」以前の問題だ。

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