１．昔の諜報機関は国内向けが「特高」で、海外向けが「登戸」だった
・敗戦前の軍国主義時代には、一般の警察とは別に特高という内務省直属の組織があり、拷問を加えた暴力的な尋問もあった。正式には「特別高等警察課」だが、主に天皇制に反対する思想や言論、行動を取り締まることを専門にした秘密警察である。ヒットラー政権のゲシュタボやソ連のKGB、米国のCIA、英国のイギリス情報部など先進国に共通して存在する「国家」のための情報管理組織だ。
・市民にまぎれて不満を監視することが重要な任務なので、通常は市民と見分けがつかない。組織の存在は公然だが、その活動内容は一般にはほとんど知らされていない。通常の犯罪は、推定無罪が基本だが、スパイ活動やテロ対策などは事が起こってからでは遅く、また証拠が少ないものが多い。このような犯罪を対象にしているため、「推定有罪」を基本としたコワーい存在だ。
・日本では、明治天皇の暗殺を計画したというデッチ上げによって社会主義者などを弾圧した大逆事件（幸徳事件1910）を機に、設置されたのが始まりとされる。
・当初は、共産主義者や共産党員を取締りの中心対象としていたが、戦時色が強めるにつれ、挙国一致体制を維持するためその障害となりうる反戦運動や新興宗教、反政府的な団体・活動に対し厳しく監視や取締りを行なった。体制への批判者がいなくなると、次に体制内部で変革を試みたとして企画院事件、満鉄調査部事件なども起きた。
・さらに、小林多喜二や野呂栄太郎、ゾルゲなどが拷問死され、新宗教の大本事件も起きている。
・弾圧がピークを迎えると、矢内原忠雄・河合栄治郎・津田左右吉ら大学教員の言論・著作活動が問題とされ、著書は発禁とされた。挙国一致体制の障害となりうる反戦運動に対し厳しく監視や取締りを行ない、創価学会も厳しく弾圧された。
２．敗戦後、「米CIA」によって「特捜」が造られた
・ 「特高は敗戦時に廃止された」ことになっている。しかし、特高警察に関連した官僚たちは当初公職追放されたが、その後の占領政策の転換に伴い追放令が解除され、旧自治省・警視庁の公安部門・公安調査庁、日本育英会などの上級幹部職に復職している。元特高関係者はGHQの方針に従いレッドパージの先鋒としての役割を担った。たとえば、政界への転身者も多く、国会議員でも衆議院41人、参議院13人に上っている。元特高は戦時中の超エリート官僚であり、敗戦後も「官僚集団」を率いる「司令部」になった。さらに占領軍GHQ内の「諜報派」が米CIAに繋がり、日本の「元特高」メンバーを利用して「特捜・公安」とした。
・敗戦後の翌々年、占領米軍GHQによって東京地検特捜部が創られた。当初は日銀の地下室に隠匿された旧日本軍の軍需物資を取り締まるという名目だったが、その結果は公開されていない。この組織の本質は、CIAの出先機関であり、東京地検特捜部の歴代トップは、全員CIAに留学し、対日工作員としての徹底的教育を受け日本に帰国する。この教育を受けた者でなければ、東京地検特捜部や、日本の警察機構の上層部に出世する事は出来なかった。
３．「公安」として生き続ける
・ 特捜は東京地域限定なので、全国対象の「極左暴力集団・右翼団体・日本共産党・外国諜報機関・国際テロリズムなどに対しての捜査・情報収集」を行う組織として、「公安警察」が造られた。宗教団体はその対象外なので、オウム真理教はテロ集団とされているらしい。東京都の「警視庁公安部」には約2,000名の警察官がいる。公安警察官は、たとえ同期の警察官であっても、詳細な所属や作業内容が分からないと言われ、秘密性の高い諜報機関員だ。
・ 【公安調査庁】実は公安警察とは別に、法務省外局に「公安調査庁」がある。この組織も、敗戦後、公職追放されていた陸軍中野学校、特高、旧日本軍特務機関などの出身者が参画したという。この二つは、「捜査能力」のある「公安警察が昔の特高を継ぐ実働諜報部隊」であり、「公安調査庁が検察官僚による頭脳部隊」と見ることができる。
４．現在も「官僚集団のトップ」が「検察」であり、そのトップが「公安・特捜」だ
・ 実は今の最悪の問題は、「現代社会は高給官僚によって支配」されており、「その官僚集団のトップが警察・検察」であると見られている。要は「法務省の検察官僚」が現代社会を支配している。
・ たとえば今国家公務員削減の流れに反して、「平成16年度から定員が36人増員されており、法務省だけは聖域」となっている。また、その組織規模とは不釣り合いなほどに他省庁への出向ポストが多く、内閣情報調査室を中心として内閣官房に二十数人、外務省に数十人、同じ法務省の組織である入国管理局に数人を出向させている。現在の中央官僚は検察官僚がコントロールしており、そのシンボルが公安・特捜だ。
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