27日に水仙月さんで開催する新茶茶会のために大和茶の新茶がどうしても入り用でした。
しかし、お目当ての生産家さんは目下一番茶の収穫中で大忙し・・・なので、作業が一休みする雨の日を狙って月ヶ瀬桃香野へ行ってきました。
目指した人はまだ若き生産者上久保淳一さん、所属する共同工場の中でも唯一の若手です。
昨日のブログにも書きましたが、上久保さんは2017年度の全国手もみ茶品評会で優勝された手もみのエキスパートで、その時のサンプリングされたお茶も見せていただきました。
2年間在籍した静岡にある国立の野菜茶業研究所では特に手もみ茶と手仕上げを専門に学ばれたそうですが、彼の受賞歴を見るとそれだけではないずば抜けたセンスを感じさせます。
昨年見学した全国手もみ茶技術競技大会でも別格の細やかな手の動きを見ていましたが、品評会出品用には原料葉を大切に育て手摘みすることからすべてトータルでの技術の高さが伺えます。
今回仕入れさせていただいたかぶせ茶は埼玉の仕上げのうまい業者さんに依頼して磨いてもらったものだそうです。
大和茶は素材がよいものでも関東人の私にとっては仕上げに物足りなさを感じることが多々あったのですが、う~んこれはうまい(-^□^-)
絶妙な仕上げ具合によって深みと甘みの奥行きが増して、後味がさらに濃厚♪
仕上げ前の荒茶とも比較させていただきましたが、仕上げの仕事があってこそ完成品になるのだと感じます。
荒茶はフレッシュさがあって、“今”飲むには季節感もあってよいですが、夏以降の品質を考慮するとしっかり仕上げすることでうんと芳醇になってくるのです。
今はもう作る人が(高齢などで)いない昔の道具を大切に使っています。
茶の選別は現代は大量に機械でできますが、お茶をふるい分けしたり粉や茎などを選別します。かつては全部手作業だったのです・・・
これ『ひだし箕(み)』という農具ですが、この大きさやしなり、風の抜け具合などはこれ専門に作る人でないと作れない技が随所にあるそうで、一般的な箕では全く対応しないそうなのです。
切り立った斜面を見ると、まさに砂質~
小学生のころ植木鉢の底の方に敷き詰めた感じの小粒な砂で形成された地形ということがよくわかります。
ここの土地のお茶は色がよく、質が高いことで全盛期は相当高値で売れていたそうです。
京都・滋賀・三重・奈良が隣接するような場所にあるので、その時代、多くは“宇治茶”として世に出たのでしょうが・・・
でも奈良の土地には大和茶を真摯に作る(たくさん!とは言いませんが)若手が各地に存在します。
いろんな形の大和茶を未来に発信してくれる大きな力です。
上久保さんのかぶせ茶は近日中に心樹庵でも販売開始予定です。