東京大学理学部数学科同期に親友W氏がいる。
W氏は白石潤一先生門下の同門として仲良くしてきた。
我々は劣等生だった。ともに大分出身、彼は1浪、私は1留で、同い年で理学部数学科に進学した。
東京大学理科I類の数学講義は、ごく一部の人(数学オリンピックメダリストなどたくさんいるのだから!)には簡単、ほとんどの人には難しすぎて意味不明。
その「9割9分の劣等生」のまたさらにほとんどは、数学を学ぶことをあきらめる。
私の先輩は、数学者志望で理科I類に入学したが、あきらめて後期教養学部に進学し、国際弁護士になった。数学はそれほど難しいのだ。
しかし私やW氏のように、劣等生のなかの「ほんの少し」の人たちは「何とかこれを分かりたい!」と思い、勉強に勉強を重ね、「理学部数学科」を第一志望とする。
ちなみに私もWさんも語学好きで、それゆえ教養の成績は良い。
Wさんは英検ドイツ語検フランス語検定1級、中国語と韓国語もペラペラ。博士号が取れずに高校教師をしている。数学教師だ。同僚の英語教師は嫌だろうな。
というわけで私はなんとか北大大学院に進学し、最低ランクで博士号取得。そしてフリーの数学者だ。
それでも、今使命感を持って数学の研究を続けている。