密林の中、
その目を爛々と輝かせながら
力強く、風を切って颯爽と
大地をかける
虎
の姿には、
強さ、速さだけでなく、
自分に対する
絶対の自信を感じられますよね。
中国では「百獣の王」といえば
虎のことだそうで、
古くから、虎は武勇や王者の
象徴のように扱われ、
「竜虎相打つ」
(強大な実力を持ち、
優劣つけがたい二者を表わす)
というたとえのように
竜と同格の霊獣とまでされています。
他にも
「虎は千里を行って千里を帰る」
(勢いが盛んな様子。
虎は一日の間に千里の道を行き、
また戻ってくることができると
考えられていたことに由来)
「虎を野に放つ」
(危険なものを放置すること。
また、禍いの元となることを
絶つことを怠り、
後に起こる大事の原因を
作ってしまうこと)
「虎に翼」
(ただでさえ強い者が更に威力をつけること)
のように、
強いもの、速いもの、
勢いのあるもの、
そして恐ろしいものとして
虎をたとえたことわざや
故事成語はたくさんありますが、
「虎視眈々 (こしたんたん)」
という四字熟語もよく聞きますよね。
「虎がその目で鋭く見詰めて
獲物を狙って身構えるように、
強い者、実力のある者が
静かにじっと機会をうかがい、
状況をうかがっている状態」
を表わすこの言葉の由来は
どのようなものなのでしょうか?
それはともかくとして、
映画界で「虎」と言えば、
やはりこの作品であり、
この人ですよね。
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"Now, when we fought, you had that eye of the tiger, man; the edge !
And now you gotta get it back, and the way to get it back is to go back to the beginning.
You know what I mean ?"
「俺たちが戦った時、
お前はトラの目をしていた。
鋭い目を。
今、それを取り戻すんだ。
取り戻すために、
初心に戻るんだよ。
分かるだろう?」
(映画「ロッキーIII」より)
映画「ロッキー」シリーズ。
ご覧になった方も多いかもしれません。
借金の取立て屋をしながら
街の片隅でくすぶった毎日を
送っていたボクサーが、
ふとしたことからめぐってきた
チャンスをつかみ、
光の当たる世界を目指して
死力を尽くして戦う
ロッキー I
ささやかながら幸せな家庭を
もったロッキーが、
様々な葛藤を乗り越えた末に
「もう一度夢を追う」
と決めて立ち上がり、
宿敵となったチャンピオンの待つ
リングにもう一度立つ
ロッキーII
に続く第三作目の
ロッキーIIIは、
ボクシング世界ヘビー級チャンピオン
という栄光の座につき
防衛も重ねていくうちに
いつの間にか闘志を無くし、
ついに若い挑戦者に完膚なきまでに
たたきのめされたロッキーが、
かつての荒々しさや
ハングリー精神を取り戻し、
自信と誇りを取り戻すために戦う
・・・というあらすじの
倒れたら立ち上がればいい。
失ったものは取り戻せばいい。
おきている現実に
心萎えること無く、
「絶対に負けない!」
そう決めて、
もう一度この胸に
燃えるような闘志と
揺るぎない自信を取り戻そう。
逆境を
正面から見つめて立ち向かう
虎の目を取り戻して・・・。
そんな勇気をくれた作品でした。
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シルヴェスター・スタローン
は、アメリカの俳優、映画監督、脚本家で、
「ロッキー」「ランボー」などのシリーズで
1970年代から2010年代の
アクション映画を代表するスターであり、
70歳を過ぎた現在でも、
鍛え上げた肉体で
激しいアクションをこなす映画俳優です。
"If you look back at life,
I bet you will regret about 80% of your actions.
But life consists of all mistakes."
「人生を振り返るならば、
やってきたことの8割は
後悔することになるのでは
ないだろうか。
だが、人生は全ての失敗から
成り立っているものなんだ」
(シルヴェスター・スタローン)
俳優にはなったものの、
役柄に恵まれず、
貧しい生活をしていたスタローンは、
1975年、29歳の時、
観戦したボクシングの
世界ヘビー級タイトルマッチに
感動し、
それをヒントにわずか3日で
書き上げた脚本を
映画会社に売り込みました。
脚本を気に入った映画会社は、
当時のトップスターを主役にした
大作として製作しようとしましたが、
スタローンは
「自分を主役にしないなら脚本は渡さない」
と主張し続け、
晴れて自分がこの脚本の主役を
演じることにつなげました。
テレビ・シリーズ1本分にも
満たない低予算で制作された
全くの無名俳優が主演のこの映画は、
1976年に公開されると
その年の最高の興行収入を記録し、
アカデミー作品賞まで受賞。
そう、この作品こそが
『ロッキー』(第1作)
であり、
映画の中での役柄そのままに、
「荒んだ生活から一夜にして栄光を掴む」
という文字通りの
アメリカン・ドリームをつかんだ
スタローンの名は、一躍
世界中で知られるように
なりました。
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"The fear is the fuel that we use for overachievement.
If I wasn’t afraid at times, I wouldn’t work as hard."
「恐怖は予想を超える
成功のために使う燃料だ。
時に恐れることがなければ、
がむしゃらにがんばりはしないだろう」
1976年、30歳にしてようやく
俳優として知られるようになった
スタローンですが、
それまでの下積み生活は、
明日の生活さえもしれない、
未来に何の約束も無い、
苦渋と不安と恐怖に満ちたもの
だったのでしょう。
それでも、
これらのネガティブな感情さえもバネにして、
「絶対に負けない!」
そう決めて、
自分のできることに
がむしゃらに挑み続けたことが、
映画『ロッキー』での
奇跡のような成功を
彼の元に導いたのです。
"When you’re scared,
when you’re hanging on,
when life is hurting you,
then you’re going to see what you’re really made of."
「怖がっている時、
ギリギリの時、
人生が自分を
痛めつけている時、
そんな時、
自分が本当にどういう人間か
分かるものだ」
私たちも今、未知の恐怖によって
その本質を試されているのかもしれません。
そして今、
私たちの中にある感情、
私たちが取っている行動、
それが本当の自分の姿
なのかもしれません。
それはそれで受け入れて、
その上で、
"Your spiritual sense will make you either a winner or a loser."
「自分の精神力が、
自分を勝者にするか
敗者にするかを決めるのだ」
スタローンがそう言うように、
どんな状況にあっても、
強い心を持って、
何があっても、
気持ちは屈しない。
あきらめない。
「絶対に負けない!」
と心に決めて、
虎の目で
じっと機会を見つめながら、
身構え続けていることができる。
そして、
いつでも戦える。
私たちも、
そんな強さと自信にあふれた
自分でありたいですよね。
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【Rocky IIIより】
映画の中で効果的に使われた挿入歌
"Eye of the TIGER"
「絶対に負けない!」
そんな気持ちをかき立ててくれる名曲です。
(今回のブログは2020/4/12に公開した内容を加筆修正したものです)
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【こちらの記事も是非どうぞ】
迷わず進め!人生をつかめ!! / 「ロッキー・ザ・ファイナル」の世界
その情熱を燃やせ! / 「ロッキー・ザ・ファイナル」の世界 II
【その他の名言記事へのアクセスは】
ここからアクセス!/過去の名言集記事 (# 261~# 270)
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「虎視眈々」
という言葉は、
中国の古書、
五経の一『易経(えききょう)』の
「顚(さかしま)に頤(やしな)わるるも吉なり。
虎視眈眈、其の欲、逐逐(ちくちく)たれば、
咎(とが)なし」
(上の者が下の者に
面倒を見てもらうことがあっても
吉である。
虎が獲物を狙うように
機会を逃さず、
自分の徳を磨こうという欲を
追求するのであれば、
さしさわりはない)
という文章が由来だそうです。
どんな状況にあろうと、
心は絶対に負けないことが大切。
それは古代の中国でも
現代でも全く同じ価値観という
わけですね。
逆境にも負けない虎の目、
私たちも大切にしていきましょう!!