試合の終わった後のロッカールーム。

 

勝利の余韻にわく日も、

悔やみきれないような敗戦の後も、

 

どんな日も彼は一人、

黙々とスパイクを磨き、

グローブにオイルを塗り続けたそうです。

 

そして、

 

誰よりも道具を大切にした彼は、

ある理由から、

 

他人の道具に触れることは

決してしなかったそうです・・・。

 

 

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彼が作りだしていた光景は、

 

 

太陽が、

 

抜けるような青空の日も

雲が空を覆い、嵐の吹き荒れる日も

 

東から昇り、西に沈むことを

繰り返すのと同じように、

 

 

毎日当たり前に繰り返された

光景だったそうです。

 

 

ただ一つ太陽とは違っていたこと。

 

それは、

 

彼が作りだし続けた光景には、

いつか終わりが来ることが

運命づけられていたことでした・・・。

 

 

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最近のイチロー選手の状況を

みていたら、

 

遠からずその日はやってくると

思っていましたが、

 

 

わかってはいても、

 

実際にその日がやってくると

やはりさみしいものですね。

 

 

引退の記者会見で、記者からの

 

「イチロー選手が貫いたもの、貫けたものは?」

 

という質問に対して

 

「野球のことを

愛したことだと思います。

これは変わることは

なかったですね」

 

という回答はとても印象的でした。

 

 

自分のしていることを愛し通す。

自分が愛していることをやり通す。

 

とても大切なことですよね。

 

 

今回はイチロー選手の発言から

 

「彼が貫き通したこと」

 

そして彼の価値観を

 

彼の言葉とともに考えていきたいと

思います。

 

【イチロー選手の引退試合の舞台となった東京ドーム】

 

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「今自分がやっていることが

好きであるかどうか。
それさえあれば

自分を磨こうとするし、
常に前に進もうとする

自分がいるはず」

(イチロー)

 

 

「野球が好き」

と言うイチロー選手ですが、

 

「野球を楽しい」

と感じたのは、プロ入りした

3年目までだったそうです。

 

好きで始めたことが仕事になり、

常に結果を出すことを求められ、

 

結果を出すことが当たり前と

なっていく。

 

 

イチロー選手でさえ、その状況は

 

「楽しい」

とは思えなかったのでしょう。

 

 

「人に勝つという価値観では

野球をやっていない」

 

 

「競争の世界」

と呼ばれるプロスポーツの世界ですが、

 

他人との競争だけに目がいくと

 

つい自分自身に負荷をかけすぎたり、

 

あるいは、

 

他人より自分の方が優位にある時には

気持ちに緩みが出るもの。

 

 

だからなのでしょう。

 

イチロー選手の価値観の中に

あったのは、

 

自分の外にある状況に左右されず、

 

常に自分自身を主体において

自分を高め続けること、

前進し続けること

 

・・・だったわけです。

 

 

決して「楽しい」とは思えなかった、

そんな取り組みを

 

30年近い年月にわたり

続けることができた、

 

それは彼が

 

野球を、自分の仕事を

愛し通したから・・・

 

だったのですね。

 

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大切なのは、

自分の持っているものを

活かすこと。

そう考えられるようになると、

可能性が広がっていく」

 

 

身長180cm、体重80kg、

視力も0.4程度と

 

プロスポーツの選手としては

決して恵まれた肉体条件とは

言えないイチロー選手でしたが、

 

 

現役中に体調の不良で

試合に出られない状況となったのは、

 

WBCの極度の疲労で胃潰瘍になった

2009年開幕時の1度のみ。

 

毎年平均で約159試合に出場して、

21世紀以降ではメジャーリーグの試合に

最も多く出場した選手です。

 

 

それは、筋肉が非常に柔らかく、

体の柔らかさを高める運動を

重視し続けたこと、

 

怪我予防の意識を強くもち、

 

怪我する危険性のある場所に

細心の注意を払い続け、

 

起床から就寝までほぼ同じ

行動パターンを繰り返したことに

よると言われています。

 

 

「はじめから、

今があったわけではありません。

状況は少しずつ

変えていけるものです」

 

 

決してはじめから自分が有利な

ポジションにいなかったとしても、

 

そこで腐ってしまったら

もうそこで終わりです。

 

 

今、自分がその条件を

持っていなかったとしても、

 

自分の意思で状況は変えていける。

 

 

自分に無いものを嘆き、

手に入れることを願うのではなく、

 

自分にあるものを大切にし、

最大限に高めることを考える。

 

 

可能性はそこから広がっていく・・・。

 

私たちも今、

自分の手の中にあるもの、

しっかりみつめて大事に育てて

いきたいですね。

 

【ウォームアップするイチロー選手】

 

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「高い目標を

成し遂げたいと思うなら、

 

常に近い目標を持ち、

できればその次の目標も

持っておくことです。

 

それを省いて

遠くに行こうとすれば、

挫折感を味わうことになるでしょう。

 

近くの目標を定めてこそ

ギャップは少ないし、

仮に届かなければ

別のやり方でやろうと考えられる。

 

高い所にいくには

下から積み上げて

いかなければなりません」

 

 

イチロー選手が築き上げた

 

日本プロ野球、

アメリカのメジャーリーグ通算での

 

最多試合出場記録

(3563試合出場)

 

プロ野球における通算安打世界記録

(4257安打)、


をはじめとした記録。

 

 

それらは全て

 

最初の1試合目の出場、

最初の1本目の安打

 

の積み重ねです。
 


当然のことながら、彼ははじめから

「3500試合に出よう」

「4000本の安打を打とう」

 

とは考えてはいませんでした。

 

 

ただ漠然と行動するのではなく、

 

目の前に小さな到達可能な目標をつくり、

 

次、また次へと

 

絶え間ない挑戦と努力と達成の

サイクルを積み重ねていく。

 

 

そうやって

偉大な記録を作り上げたイチロー選手。

 

彼と同じことはできなかったとしても、

 

彼と同じやり方は、

私たちにもきっとできますね。

 

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【19/3/21 引退記者会見より】

 

「人より頑張ることなんて

とてもできないんですよね。

あくまでも、秤(はかり)は

自分のなかにある。それで

 

自分なりに秤を使いながら、

自分の限界を見ながら、

ちょっと超えていく

ということを繰り返していく。

 

そうすると、いつの日か

『こんな自分になっているんだ』

という状態になって。

だから、少しずつの積み重ねが、

それでしか自分を超えていけない

というふうに思うんですよね。

 

一気に高みに行こうとすると、

今の自分の状態とギャップがありすぎて、

それが続けられないと

僕は考えているので。

 

地道に進むしかない。

進むだけではないですね。

後退もしながら、

ある時は後退しかしない時期も

あると思うので。

 

でも、

自分がやると決めたことを

信じてやっていく。

 

でもそれは正解とは限らないですよね。

間違ったことを続けてしまっている

こともあるんですけど。

 

でもそうやって遠回りすることでしか、

本当の自分に出会えないというか。

そんな気がしているので」

 

 ・・・・・

 

「どの世界でもそうですね。

新しい世界に挑戦する

ということは、大変な勇気だと

思うんですけれど…。

 

ここはあえて『成功』と表現しますが、

『成功すると思うからやってみたい。

それができないと思うから行かない』

という判断基準では、

後悔を生むだろうな

というふうに思う。

 

やりたいならやってみればいい。

 

『できる』と思うから

挑戦するのではなく、

『やりたい』と思えば

挑戦すれば良い。

 

その時に、どんな結果が出ようとも、

後悔はないと思うんですよね」

 

 

彼の現役選手としてのプレーは

もう見ることができなくても、

 

彼の言葉を通して

 

彼が目指したもの、

彼が目指した世界

 

を理解して、私たちも

 

自分が「やる」と決めたことを信じ、

やり通す人生にしていきましょう。

 

 

イチロー選手、お疲れ様でした!

そして、ありがとうございました!!

 

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【こちらの記事も是非どうぞ】

努力の極意 / イチローの世界

 

成果を上げる仕事の流儀 / イチローの世界 II

 

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イチロー選手が他人の道具、

グルーブやバットに触らなかった理由、

 

それは、

 

自分の手に、

他人の道具の重さや形の

感触が残るのが嫌だったからだそうです。

 

自分の道具を大切にし、

とことんこだわる。

 

 

これもまた、

 

他人にどう思われようと、

自分の信じた道を進み続けた

イチロー選手らしいエピソードですね。

 

【さよなら 背番号51】