人生、何事もバランスが大切ですよね。

 

 

「仕事はできるが、

休日には何もやることが無く、

ただ寝てるだけ」

 

「一生懸命働いてお金持ちになったが、

家族は無く、身体も壊した」

 

それでは人生つまらなくなりますからね。

 

 

とはいえ、

 

それでは、どこに線をひいて、

何を基準にしてバランスを取るのか?

 

自分にとって、

何が正しいことで、自分はどうあるべきか。

その判断基準は?
 

 

「自分はその判断をするための

価値観をしっかり持っているのか?」

 

自問自答してみると、

不安に思えてくるかもしれません。

 

 

誰も正解を示してくれない、

誰も正解を知らない、

 

まるで全く先の見えない霧の中を

手さぐりで進んでいくような

人生の歩みの中で、

 

孔子先生は

どうやって心のバランスを

取っていたのでしょうか?

 

何をもって

その行動の規範を決めていたのでしょうか?

 

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子曰、

賜也、女以予爲多學而識之者與。

對曰、然、非與。

曰、非也。予一以貫之。

「子曰(のたま)わく、

賜(し)や、女(なんじ)予(わ)れを以(もっ)て

多く学びてこれを識(し)る者と為すか。

対(こた)えて曰わく、然(しか)り、非(ひ)なるか。

曰わく、非なり。予れは一以てこれを貫く」

(孔子 「論語」 衛霊公 第十五-三)

 

【現代語訳】
孔子が子貢(しこう:弟子の名)におっしゃいました。


「賜(し:子貢の名)よ、

お前は私が多くを学んで

それらすべてを理解していると

思っているのか?」


子貢が、
「はい、思っております。違うのですか?」
と答えると、孔子は、


「違うよ。私はただ一つの事を

貫いているだけなのだ」
とおっしゃいました。

 

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弟子たちは、孔子のことを

 

「あらゆる分野に通じて、

世の中全ての道理を知る存在」

 

そう思っていたのでしょう。

 

現代を生きる私たちにも

そう思えますね。

 

 

しかし、意外なことに孔子は

「自分はたった一つのことを貫いているだけだ」

 

と答えています。

 

 

孔子が大切にした

「たった一つのこと」

 

それは

「仁」

の心。

 

そう言われています。

 

(論語の中のおよそ一割が

「仁」「仁者」

に関する言葉だそうです)

 

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「仁」とは

 

「他人に対する親愛の情、優しさ」

 

であり、さらに

 

 

子曰、克己復禮爲仁。

一日克己復禮、天下歸仁焉。

 

「子(し)日(のたまわ)く、

己(おのれ)に克(か)ちて

礼に復(かえ)るを仁と為す

(孔子 「論語」 顔淵 第十二-二八九)

 

【現代語訳】

孔子はおっしゃいました。

「私心に打ち勝って、

真(まこと) の道 (礼)に立ち返ることが

仁というものである」

 

 

つまりそれは

 

自分以外の他人に対しての

思いであるとともに、

 

自分を律して礼を重んずるという

自分自身に向かい合う心。

 

 

それが

「『仁』の心」

 

孔子が大切にして貫き通した、

 

たった一つのぶれない価値観

 

だったのです。

 

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子曰、君子求諸己、小人求諸人。
 

「子曰わく、

君子は諸(こ)れを己に求む。

小人は諸れを人に求む」
(孔子 「論語」 衛霊公 第十五-二一)

【現代語訳】
孔子がおっしゃいました、
「徳のある人格者は正しさを自分に求める。

つまらない人間は正しさを他人に求める」

 

 

それは必ずしも、

 

「仁」

 

でなくてもいいのだと思います。

 

「仁」とあわせて「五常の徳」と呼ばれる

義・礼・智・信

 

や、他にも

 

あなたが大切にしていくに値する

価値基準は、

世の中にたくさんあると思います。

 

 

自分の生き方、考え方にあった

ぶれない価値観感、

自分の価値基準を定めて、

自分の心にきちんと設定すること。

 

そして、

 

他人の価値観に惑わされることなく、

 

常に自分の価値観に基づいた判断で

自分が正しいと思える、

バランスのとれた生き方をしていくこと。

 

 

そんな孔子先生のお墨付きの

「君子 (優れた人物) な生き方」、

私たちもしていきたいですね。

 

 

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【こちらの記事も是非どうぞ】

知・仁・勇の心 / 「論語」の世界

 

慕われる人物像 / 「論語」の世界 II

 

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