力、そして富。
誰もが求めるものですよね。
ならばこんな世界はどうですか?
力・・・。
広大な平原を埋め尽くす軍勢が、
風の音しか聞こえない静けさと、
張りつめた緊張感の中で、
息を殺して、
あなたの指示を待っている。
そして
あなたのその声一つで、
2万人を超える大群が、
最強の軍団となって、
あなたの意のままに
疾風を巻き起こし、怒涛となって
敵を蹴散らす。
青空の下には、
颯爽とはためく
「風林火山」
の旗印 !!
鉱山を掘り、
川の流れを変えて、
経営する領土は120万石。
それは、
年間120万人の成人男性を
養えるだけの経済力。
それだけの組織を、
トップの経営者として運営する。
どうでした?
想像できましたか?
夢のような、
ちょっと現実離れした話・・・
そう思われているかもしれませんね。
でも、
この人の言葉に耳を傾けて、
この人の思考をたどれば、
この人が
見ていたもの、
聞いていたもの、
感じていたことを、
あなたも、
より鮮明にできるかもしれません。
そして
あなたの人生を、
より豊かなものにできるかもしれません。
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疾(はや)きこと風の如く、
徐(しず)かなること林の如く
侵掠(しんりゃく)すること火の如く、
動かざること山の如し。
有名な孫子の兵法
「風林火山」
の旗をかかげた武田信玄。
1521年 甲斐の国に生まれ、
1573年 この世を去るまでの、
52年間の生涯を劇的に駆け抜けた、
戦国最強の武将
の一人と呼ばれる英雄です。
その風林火山の旗の下で、
彼がもっていた思考、
大切にしていたものを、
今回から3回に分けて
皆さんと探っていこうと思います。
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【 Part 1.【風】/ 行動 】
為せば成る
為さねば成らぬ成る業(わざ)を
成らぬと捨つる人のはかなき
(現代語訳)
やればできる。
やらなければできない。
やればできることを、
できないとあきらめる人は愚かである。
自分の望む結果が欲しいなら、
それができると信じて、
行動すること。
一生懸命だと知恵が出る
中途半端だと愚痴が出る
いい加減だと言い訳が出る
言い訳せずに、
全力で取り組むこと。
行動し続けること。
その先に
知恵が出る。
ひらめきが降りてくる。
彼がこの世を去ってから
400年以上の時を経た、
21世紀の世の中を生きる
私たちにもそのまま通じる、
思考ですね。
ちなみに、
江戸時代後期、
米沢藩主の名君
上杉鷹山
が家臣に
「為せば成る、
為さねば成らぬ何事も、
成らぬは人の為さぬなりけり」
という歌を
教訓として詠み与えた・・・
という話も
世間一般に有名で、
皆さんもお耳にしたことが
あるかもしれません。
実はその歌、
信玄の言葉を元にしていると
言われているようです。
宿命のライバル、
武田と上杉
ここでもつながっていたのですね。
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【 Part 2.【林】/ 覚悟 】
負けまじき軍に負け、
亡ぶまじき家の亡ぶるを、
人みな天命と言う。
それがしに於いては
天命とは思はず、
みな仕様の悪しきが故
と思うなり。
(現代語訳)
負けることのない戦いに負け、
滅ぶことのない家が滅ぶのを、
人はみな、天命と言っている。
自分は天命とは思わない。
みなそのやり方が悪いためであると思う。
あなたも
信玄の偉業を
「信玄は天才だから。特別だから・・・」
そう思われているかもしれません。
確かに信玄は、
たくさんの優れた才能に恵まれた
天才だったのかもしれません。
戦国大名の長男として生まれる・・・
ということも、
特別なことだと思います。
でも彼は、
そういった
自分が持って生まれた特別な
環境や才能の上で、
単にあぐらをかいているだけの
人物ではなかったようです。
決して他人のせいにはしない。
境遇のせいにも、
運命のせいにもしない。
自分の思い通りにならない
現実があったとしたら、
全ては自分の行動のやり方の悪さ
が招いた結果であると受け入れる。
それだけの覚悟を持って、
決断し、
行動していたからこその
この言葉であり、
彼が残した偉業の数々・・・
ということでしょう。
晴信が定めや法度
以下において、
違反しているようなことがあったなれば、
身分の高い低いを問わず、
目安をもって申すべし。
時と場合によって
自らその覚悟をする。
( 現代語訳)
晴信 (=信玄) が
自分で定めた法に
違反しているようなことがあれば、
身分の高い低いを問わないので
目安 (=投書) で申し立てること。
時と場合によって自ら覚悟する。
自分の立場を利用して、
自分に都合の良い法律や決まりを
下の者に押し付ける。
現代社会においても、
大国・小国を問わず、
あるいは
国であろうと、
地方自治体であろうと、
企業であろうと・・・
あらゆる組織に
そういうリーダーが
いるのではないでしょうか。
法を定めた、
自分自身にもその法は
厳格に適用される・・・
当たり前のようでいて、
決して当たり前ではない、
法を犯せば自分自身でさえ
処罰することの明文化。
それによって
その法の価値が高まり、
家臣や領民が信玄を信頼し、
彼のためにその命を懸けて戦った。
人は信玄の、
その才能によって
だけではなく、
信玄自身が見せた、
彼の行動規範に感動し、
その人柄についていった。
それもひとつの真実・・・
かもしれません。
上に立つ者の、
信念と覚悟。
組織の存亡はそういったところから
決まるのかもしれませんね。
(次回
につづきます)
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