「醜さについて」
醜さとは一体何なのだろうと思う。人に不快感を与える醜さもあれば、思わず吹き出してしまうような滑稽さを伴う醜さもある。最も後者の場合は醜さというよりは不細工などの表現が適切なのかも知れないが。
彼女の容姿はあらゆる意味で美しいとは言えないものであった。鼻は小鬼のように小さく、先の尖った形をしており、小鼻は横に広がっていた。目は小さく、それでいてキョロキョロと周りを見回す好奇心に溢れたその瞳はさながらトカゲが餌を探す様子を思い起こさせた。手足は短く、ずんぐりとした体型をしていた。
にも関わらず、彼女の印象は不快とはかけ離れたものであった。持って生まれた性格もあるのかも知れないが、彼女を見ていると人はあたかも小動物を愛でるかのように不思議と癒された。なにより、彼女自身が自分の容姿に対して引け目なく、しっくりと落ち着いていることが、周りに対して安心感を与えるのかも知れなかった。
自分の見た目に引け目を感じること無く(あるいは感じているように見せることなく)、周りに対して明るく接する彼女を見ていると、僕は自然と尊敬の念を抱くことになった。それは、決して優れているとは言えない自分の容姿を必死に良く見せようと取り繕う僕自身が恥ずかしく思えるぐらいに。