二人の時間 | shingo722のブログ

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 「二人の時間」
 
 壊れた心の破片を繋ぎ合わせるように僕たちは色んな話をした。たとえその破片でお互いが手を切ったりして血を流すようなことがあっても、僕らは辛抱強くその作業を続けた。まるでそれが僕らを癒す唯一の手段であるかのように。そしてそれは間違いなく真実だったのだ。
 僕らが出会ったのは高校に入ってからだった。お互い別々の中学校から上がって来たのだが、なるべく元々いた中学校の知り合いがいないところに進学したかったという点で僕らは一致していた。お互いの中学校に馴染めなかった、あるいは心楽しく無いことがあったという理由で我々は新しい環境を切実に欲していた。そしてその試みが功を奏し、我々は出会う事が出来た。それはおそらく今後の人生においてもまたと無い奇跡である。僕らは直感的にその事に気づいていた。だからお互いが一緒にいられる時間を何より大事にしたし、一緒にいる事によって、あるいはお互いの思う事を率直に相手に話す事が出来るということによって(それはほとんど初めてに近い経験だった。家族の前でさえも、我々は中々本音で話す事は出来なかったから)お互いが回復しているという実感があった。
 今日も僕らは手探りに破片を拾い集めている。放課後の教室で。あるいは夕暮れの公園で。家に帰るまでの僅かな時間を惜しむようにして会話に熱中する。そしてそれが永遠に続く時間では無いという事を、僕らは知っている。