青春 | shingo722のブログ

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 「青春」
 
 握りしめた拳から感情が溢れ出していた。食いしばった奥歯からギリギリと音が漏れ、球児たちは声にならない声を上げた。
 3年(中学時代を含めるならば6年)という青春においてはあまりに長きに渡り積み重ねた努力や情熱が今終わったのだという、込み上げる感情の奔流が涙となって頬を伝っていた。淘汰されるものの宿命か、負ければその時点で夏が終わるという残酷とも取れるトーナメントの裏側で、敗者の側にも間違いなく各々の物語が存在した。その物語が深ければ深いほど、勝者の歓喜はより色濃く輝かしいものになるのだ。
 僕は学生時代、そんな彼らの様子を遠くからぼんやりと眺めていた。そんな濃縮された青春と自分とを比べある種の後ろめたさすら感じていた。報われるとは限らない努力に青春の全てを懸けることを思うと恐怖に足がすくんだ。
 しかし僕は知らなかった。そこに注ぎ込んだ情熱が決して無駄になる事などあり得ないのだという事を。その物語に込められた努力と想いの濃度こそがその後の人生をいかに充実したものにするのかということを。
 それを知るには僕はあまりに若く、青かったのだ。