「雪景色」
窓の外は一面の雪景色だった。僕は列車の窓際で頬杖をつきながら普段見ることのないそんな銀世界をずっと眺め続けていた。
友人の訃報を受け取ったのは三日前だった。僕は年の瀬にも関わらず実家に帰ることもせず気ままな大阪の大学での寮生活を謳歌していた。相部屋の友人は青森に帰省していた。彼とは何かと気が合い、よく2人で部屋で朝まで飲み明かしたりしたものだった。彼が青森に帰る際も何か土産はいるかと聞かれ、何か酒に合いそうな食べ物が欲しい、僕は答えた。まさかその会話が最後になるとは思いもせずに。
彼は夜遅くに実家の最寄駅に降り立つと、そこから歩いて帰る途中、雪でスリップして来た車に轢かれて死んだ。滑り止めの付いたタイヤに不備があったらしい。その翌日、彼の父親から僕の携帯に良かったら葬式に出てくれないかと電話があった。彼のカバンの中で奇跡的に事故で壊れる事のなかった携帯の着信の履歴に僕の名前があったという。彼はまとまった休みがある度に実家に帰り、よく僕の話をしていたらしい。地元を遠く離れた大阪で気の合う友人が出来たことを息子は喜んでいたと彼の父親に聞かされた。
僕はいつまでも変わり映えのしない窓の外の雪景色を眺め続けていた。そして当たり前のように思っていたその友人との日々がもう戻ってこないことを思い、深い深いため息を吐いた。