深夜の森 | shingo722のブログ

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 「深夜の森」
 
 森はまるでそれ自体が一つの生命体であるかの様に蠱惑的に、誘い掛けるように僕たちを奥へ奥へと導いていった。僕は昼間の森でさえ何か底知れぬ恐怖を感じることがあるのだが、夜の森はより一層その奥行きを増し、もっと全体的に僕の不安を掻き立ておののかせた。僕は何度も親友に、やはり引き返すよう言って聞かせようとした。しかし彼は魅入られた人の様に僕の言葉には聞く耳持たず深夜の森の奥へと進んで行った。
 僕らは真夜中家族が寝静まったのを見計らって家を抜け出し、森の目の前にある神社に集合した。そして夏休みをいい事に皆が起きだす直前まで夜通し、夜にしか活動しないという珍しい虫を探しに森の中を探検する事にしたのだった。
 しかし僕はその森の深遠な妖気と、親友の普段とは違う魅入られた人特有の言葉の届かない世界へ行ってしまったかの様な表情に不安になり、すぐにでも家に帰りたい気持ちになった。
 親友は深夜の森の深淵へと深く深く進んでゆく。僕は彼からはぐれない様に、そして彼自身を離さない様に必死にあとをついて行った。いつか夜明けの太陽が差し込み、彼を魅了する森の魔力から解き放ってくれる事を祈りながら。