「2人の日々」
最初のうち僅かに肌に感じられるかどうかというどころだった水滴がやがて大粒の雨となってアスファルトに降り注いだ。夕立は折悪く僕たちがスーパーの袋を下げて帰ろうとした頃に降り出した。
「どうする?傘買っちゃおうか」
彼女が言った。
「もう少し様子を見てみようよ。少し雨足が弱くなるまでさ」
僕たちはすぐそばのハンバーガーショップで30分ばかり時間を潰すことにした。特に会話らしい会話もなくスマートフォンを触るだけの時間に慣れてどれぐらい経つのだろう?そこには苦痛も無い代わりに付き合いだした当初の心の震えも無かった。
やがて小降りになった雨の中を僕たちは小走りに部屋に戻った。交代にシャワーを浴びてお互いにベッドに身体を投げ出すと僅かに沈黙が流れた。お互いの気持ちの重さを測るようなこの時間は、さっき過ごした30分の何倍にも感じられた。
「疲れたでしょう、少し眠ったら?」
彼女の言葉にホッとした自分に嫌気が差しながら、そこに含まれたあきらめの気持ちに哀しくなった。あとどれぐらいこの時間が続くのだろう?すっかり暗くなってしまった部屋の中で彼女に背を向けるように僕は寝返りを打った。