深い森 | shingo722のブログ

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 「深い森」
 
 霧のような細かい雨はじっとりと身体にまとわりつき、濡れたシャツが肌に張り付いて不快だった。9月下旬の朝は少し肌寒く、このままでは風邪を引いてしまうのではないかと心配になった。
 僕は鬱蒼と生い茂った森の中を奥へ奥へとあてもなく歩き続けていた。昨日の夜に彼女と喧嘩してから気分が晴れず、朝食もそこそこに家を飛び出すとやたら滅多に歩き続けた挙句にここに辿り着いた。
 深い森は暗い心の様に複雑に、どこまでも入り組んでいたが僕は構わず奥へと歩き続けた。自らその迷宮に迷い込む様に。どこかで名も知らぬ鳥が鋭く鳴く声がした。森全体が脈打って生きているようだった。僕はそんな生命体の中心部、心臓へ向けて歩き続けていた。まるで自分自身把握し切れない心の内を探検し、その秘密を解き明かそうとするかのように。