星の瞬く夜に | shingo722のブログ

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 「星の瞬く夜に」
 
 とても静かな夜だった。無数に瞬く星は今にも空から溢れ落ちそうだったし、海は星々の明かりを反射して眩いばかりに輝いていた。僕たちはしばらくそんな光の洪水に圧倒されていた。
「どうしてこんなに美しいのかしら」
 彼女が言った。
「私たちが生まれる遥か昔からこの美しい光景は続いていて、誰に見られることもなく変わらない美しさを保ち続けて来たのよ。まるで見ていると窒息してしまいそうなぐらいの眩い光の景色を。私の言っていることは分かる?」
「分かるよ」
 僕は言った。
「地球上の、いやこの宇宙における自然が作り出した景色は想像も出来ないような昔から連綿と続いて来たものだ。誰に見られることもなく存在し続けて来た。それを今、たまたま僕たちが目にしているだけだ。でもね」
 そこで少し僕は言葉を区切って彼女の目を見た。
「たとえ偶然であっても必然であっても、我々の心を震わせるような景色に出会えたことは奇跡と呼んでいいし、それに感謝すべきなのかも知れない」
 肩に手をまわすと彼女は僕に身体を預ける様に寄り添った。彼女の身体は温かく、少し肌寒い九月の夜に僕は安らぎを感じる事が出来た。
「すべての出会いは奇跡なのかも知れないわね」
 彼女はそう言っていつまでもその光の景色を眺め続けていた。