エレベーター | shingo722のブログ

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 「エレベーター」
 
 絶え間なく上昇を続けるエレベーターに乗り、僕は建物の最上階を目指していた。絶え間なく続く緩慢な上昇はやがて僕から自分は上昇しているのだという感覚と時間の感覚を奪い去っていった。そして僕に、まるで自分が生まれたときからそのエレベーターに乗っているのではないかという錯覚と最上階を目指しているのだという目的意識の欠如をもたらした。僕はただエレベーターに閉じ込められて目的もなく移動を(移動すらしていないのではないか?)続けているのではないか。そんな妄想が精神を蝕もうとするのを僕は首を振って振り払った。僕はなぜこの建物の最上階を目指していたのか?そうだ、僕は最上階の窓からこの街の景色を一望してみたかったのだ。この街で一番高い建物の一番高いところにある窓から普段自分や人々が暮らしているところを眺めてみたかったのだ。どうして?人が高いところから景色を眺めるのに理由などないし、必要ない。人は高みを目指す生き物なのだ。しかし、僕のそんな気持ちとは裏腹にエレベーターはいつまでも最上階には辿り着かなかった。まるで上昇をし続けること(あるいは上昇していると思い込むこと)それ自体に人生の本質があるとでも言わんばかりに。