思考の渦 | shingo722のブログ

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 「思考の渦」
 
 思考は渦を巻き、やがて夜を巻き込んで僕を混沌の方へと押し流して行った。夜空に浮かぶ北極星も北斗七星さえも、その引力の前には為す術が無かった。僕は僅かな抵抗を示す様に寝返りを打った。
「眠れないの?」
 彼女が声が静寂に呑まれそうだった僕の元に届いた。僕は頷いたあとで暗闇の中である事に思い当たったが、その僅かな動作の気配はきちんと伝わったらしく、彼女に背を向けて眠る僕の肩に優しく温かな手のひらが乗せられるのを感じた。
「考え過ぎなのよあなたは」
 今度は彼女の微笑む気配が暗闇の中、背中越しに僕にまで伝わった。それは温かい手のひらの物理的な温もりに負けないぐらい、僕を内側から温めてくれた。
 夜を巻き込む渦の引力を超えて僕を惹きつける彼女の優しさの前に、数々の悩みは霧散してしまった様だった。