午前二時の月 | shingo722のブログ

shingo722のブログ

ブログの説明を入力します。

 「午前二時の月」
 
 午前二時の月が僕たちを眺めていた。僕たちはそれを眺めていた。こんな夜更けに二人で街を散歩するのはいつ以来だろう。昔、出会ったばかりの頃はよくこうやって二人であらゆる場所をあらゆる時間に歩き回ったものだった。あたかもこれまで僕たちが互いに見て来た世界を二人の目線で新たに書き換えてゆくかのように。そしてその行いは幾ばくかの功を奏し、僕たちは物事をふたりの目線を通して再認識するようになった。僕たちならどう思うか?僕たちならどうするか?まるで新たな一人称を得たかのようだった。我ら思う、ゆえに我らあり。そんなところだ。
「ねぇ、お腹が空かない?」
「もちろん」
「ラーメンが食べたい気分だわ」
「そうだね」
 我々は意識の総体として物事を考え、感じ、行動しているのだ。どうして相手の感じたことに疑問を抱く必要があるだろう?
 夜空に浮かぶ月はそんな僕たちを半ばあきれたように、そして微笑ましく眺めていた。