「感情と脳内物質」
僕は際限なくコーヒーを飲み続けていた。カフェインのもたらす一瞬の覚醒と僅かな多幸感だけが頼みの綱だった。繋ぎ止められた意識の回路を脳内物質があても無くグルグルと駆け巡り、やるせない感情となってペン先から吐露されていた。行き場のない感情と僕の脳内物質。どちらもやがては夜の静寂の中に溶けて消えてしまうのだろう。
夜通し続くこの快楽と表裏一体の苦悩は僕の精神を擦り減らすと同時に研ぎ澄まし、鋭利になった矛先は自分自身へと向けられていた。結構。誰にぶつけられるでもない感情は自分自身へと向けるがよい。そこで生まれた深い内省は僕を新しい境地へと誘ってくれるハズなのだから。
やがて夜が明ける。日の出と共にもたらされる救済は僕の精神を浄化し、高みへと押し上げてくれるであろう、おそらく。そしてそのとき初めて、行き場の無かった僕の感情と脳内物質は文字通り日の目を見るのだ。おそらく。だから今はコーヒーを飲みながら文章を繋ぎ続けるしかない。その先にある救済を信じて。