秘密 | shingo722のブログ

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 「秘密」
 
 トントン、と部屋の扉がノックされる。
「どうぞ」
 僕は短く答えた。
「失礼します」
 入って来たのはいかにも落ち着かなそうな目をした女性だった。履歴書には28才とある。
「よろしくお願いします」
「ではあなたの長所を教えて下さい」
「はい、私は昔から周りから真面目な性格であると言われており、自分自身、物事には初めから真摯に取り組むことをモットーとしており…」
「よろしいですか?」
 僕は彼女の言葉を遮って言った。
「この仕事に必要なのは秘密を守る能力であり、場合によっては適切に嘘もつかなければなりません。あなたはその場に応じた嘘をつくことが出来ますか?」
「努力します」
「よろしい。では下がって頂いて結構です」
「失礼します」
 彼女はそそくさと部屋を出て行った。冷酷なようだが彼女にこの仕事は向かないだろう。繰り返すようだが、この仕事に必要なのは秘密を守る能力であり、真面目な性格であるかどうかは二の次なのである。
「次の方どうぞ」
「失礼します」
 入って来たのは上品なスーツに身を包み、さり気ない装身具で着飾った女性だった。履歴書には32才とあったが見た感じもう少し若く見える。肩まで伸びた髪が美しく、人目を惹かずにはおられない顔立ちをしていた。
「ではあなたの長所を教えてください」
「一言で言うなら適応力だと思います。その場に応じた切り返しならお任せ下さい。あなたが望むなら、どんな嘘でもついてみせます」
 待ちかねていた逸材が現れたようだった。