原罪 | shingo722のブログ

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 「原罪」
 
 痛みは断続的に続いていた。こめかみのあたりの1センチか2センチ奥の方がズキズキと、しかし奇妙な懐かしさを持って疼いていた。そう、この痛みはずっと過去から来たものなのだ。僕は椅子に座ったまま背中をちょうど、オーギュスト・ロダン作の考える人のように丸めて痛みをやり過ごそうとしていた。
「大丈夫?どこか具合が悪いの?」
 彼女が心配そうに尋ねたが、僕は「大丈夫だよ」とだけ答えてしばらくそのままの格好でじっとしていた。なぜならその痛みに耐えることでしか、僕はこの自分自身の過去と向き合うことが出来ないのだと、本能的に分かっていたからである。
「どうしようも無くなる前に言ってね。手遅れになってからでは遅いんだから」
 彼女の声が虚に響き始めていた。どうやら僕は頭の奥底にある過去へ向かって垂直に降りていっているようだった。そこで僕は自分の原罪とでも言うべきものと向かい合おうとしていた。それは僕が彼女と出会ったがゆえに手放したもの、彼女のために手放し、傷付けた脆い魂のようなものだった。僕は静かに、息を詰めるようにして、自分の犯した罪を見つめていた。