「明け方の空」
結局のところ、逃げたのは僕の方だった。最後まで彼女の気持ちと向き合おうとしていなかったのだ。夜が明け切るのも待たずに彼女は出ていった。明け方の空が一日の始まりを告げるのとは対象的に僕たちの関係は終わりを告げていた。
しかしむしろ、彼女にとってはそれは新たな人生の始まりであったのかもしれない。一度も振り返ることなく駅へと向かう彼女の後ろ姿には、どこか毅然とした覚悟が感じられた。
僕は部屋に戻るとベッドに身を投げ出して天井を眺めながら、本当にこれで終わりなのだろうかと自問自答していた。どう考えても答えはイエスだった。やがて夜が明け小鳥の囀りと共に一日が始まったにも関わらず、僕の心だけが未だにあの夜に取り残されていた。