「特別なもの」
一口で言ってしまえば彼女はごく普通の女の子だった。ハッと人目を引くような美人でもなければ、何か特別な才能に恵まれているというわけでもなかった。しかし僕には分かっていた。彼女の中にある、僕だけにしか分からない僕だけのための特別なものの存在が。そしてその特別なものはこの地球にあまたいる人間の中から僕だけを引きつけ(失礼、他にも彼女に好意を寄せている人間は何人かいたハズだ)、めでたく二人は結ばれることとなったわけだ。
彼女にしたところで、大勢の人間の中から自分の運命の相手を見つけ出すのは容易なことではなかったハズだが、それにも関わらず僕を選んでくれたからには、やはり僕の中にも彼女のためだけの特別なものがあったと信じたい。
いつか誰かが「二人が結婚を決めた決め手は?」と尋ねたなら、それはお互いの中にある特別なものを、ついうっかり見落とさずに済んだからだよと答えるしかないだろうと思う。