「午後3時の喫茶店」
時はたゆたう様に流れていた。その揺らぎの中に引き伸ばされた僕たちの時間があった。午後3時の喫茶店にはそういった奇妙で穏やかな雰囲気がある。
「今の人とは上手くいってるの?」
僕は聞いてみた。
「まぁ、ぼちぼちといったところかしら」
彼女は窓から差し込む陽の光に目を細めながら言った。
「ブラインドを降ろそうか?」
「いいえ、明るい方がいいわ。話まで暗くなるといけないから」
彼女が穏やかに微笑みながら言ったので僕もつられて微笑んだ。
時の波のまにまにかつて二人で過ごした時間が漂っていた。そんな記憶の断片が思い出すともなく自然に蘇ってきた。やがて太陽が西に傾き時計の針が4時を告げる頃、彼女は静かに立ち上がった。
「そろそろ行くわ」
「元気でね」
彼女の後ろ姿を見送りながら、僕はしばらくの間、時の波に身を浸していた。