殻 | shingo722のブログ

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 「殻」
 
 殻の奥の薄く透明な膜の向こうに彼女の繊細な心が透けて見えた気がした。普段気丈に振る舞うのはやはり、転校生ゆえの侮りや(地方から都会に越してきた人間の受けるある種の扱い、逆も然りだが)気遣いを拒否しようとする彼女の負けん気の強さから来るものだったのかも知れない。しかし、それはふとした瞬間にその固い殻にひびが入り割れてしまうのではないかという危うさを含んだものだった。僕は時折見せる彼女の遠くを見るような目線や表情の中にそれを見出すことがあった。どうしてそんなことに気がつくのだろう?やはり僕は彼女に好意を抱いていたことを認めざるを得ない。中学校三年生の当時の僕にはとてもそんな勇気は無かったのだけれど。
 十数年ぶりに皆が集まった同窓会で見かけた彼女の顔には、その当時のような気負いは無かった。しかしその表情は昔の面影を十分に残していたし、中学生当時の様々な記憶を僕に呼び起こさせた。そして僕の中で、相変わらず綺麗だなというありきたりな感想のあたりで落ち着いたのだった。